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かちく

作者: 八谷 響

 わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。


「なんだ女の子か。次は男を産めよ」


 わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。


「女の子なんだから、行儀よくしなさい。恥ずかしいでしょ」

「女の子なんだからこれくらい気が利かないと駄目だろ。まったく、母さんのしつけが悪いんだ」


 わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。


「運動なんかできなくていいのよ。バレー部なんか辞めなさい。それより、もっと家のこと手伝ってよ」

「勉強なんか無駄だ。どうせ嫁に行くんだから」


 わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。


「本当に不出来でみっともないですわ。おたくのお坊ちゃんは、成績も優秀で素晴らしい」

「まったく、こんな素晴らしい方と知り合えるとは光栄ですな。至らぬ娘ですが、どうぞしっかりしつけてやってください。おかあさんもよろしくお願いします」

「とんでもない、こちらこそよろしくお願いします。素敵なお嬢さんですこと」


 わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。


「家のことしかできない奴が生意気言うな! 誰の金で生きていけると思ってる! さっさと飯を作れ!」

「まったく、役に立たない嫁だわね。さっさと孫の顔が見たいのに、あなたがしっかりしないから」

「掃除も行き届いてない! 一日中家にいるくせになんだ。役立たず」

「本当に、役立たず。女は子供を産んで初めて一人前なんだから。さっさと嫁の義務を果たしなさい」


 わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。


「何だ、女の子か。男を産めといっただろう。まったく役に立たない奴だな」

「次は男の子を産みなさい。早く跡継ぎを生んで、安心させてほしいわ」


 わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしはかちく。わたしは


「な、なんだ! 何をする気だ! お、おい!」

「きゃああ!!!!」



「……あなたの境遇には多少同情をしますが、罪は罪です。償いはしなければなりません。成人した人間なんですから」


 私は、人間。

 私は、嫁畜(かちく)、じゃ、ない?


 頬が濡れている。喉から変な声がする。

 ああ、笑って、いるんだ。私は。

 私は、人間。嫁畜(かちく)じゃ、ない。



 日本国憲法第十四条――すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。



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