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修業2(十文字槍との初手合わせ)




秀長から胤栄と才蔵の紹介を受けた後、虎之助の3人は二人に自己紹介をした。


胤栄と才蔵も虎之助の巨漢には驚嘆の声を上げた。


『ワシが今まで出会った中で、虎之助殿ほど大きい方はいなかった、長生きはするものだなぁ。』

と、目を細めながら虎之助を眺めてしみじみと胤栄が呟く。


『聞くところによると、虎之助殿と御前試合を行う予定の森長可殿と申される者は十文字槍を使われるというが、虎之助殿は十文字槍の使い手と手合わせをした事があるのかな?』と胤栄が聞く。


『残念ながら有りません。』と虎之助が答えると、『では、説明よりも先ずは体験してもらいますかの。』と胤栄が、才蔵に目を配り手を差し伸べる。


才蔵が十文字槍の型の木槍を担いでいた荷物から出し、胤栄に手渡した。


胤栄が木槍を構えるので、虎之助も『御相手願います。』と木槍を構え戦闘体勢を構えた。


互いに相手の隙を伺い、円を描くようにぐるぐると周り、その円が少しずつ小さくなっていく。


周囲の者がどちらが先手を取るだろうかと思った瞬間、胤栄が先に動いた。


動いたと思った時には、胤栄の木槍が薙刀のように、虎之助の胴に向かっていく。


虎之助も瞬時にその動きに反応し、胤栄の木槍に自分の木槍を当て受けようとする。


二人の木槍が交差し、音が鳴った瞬間、胤栄が自分の持っていた木槍の十字の横槍を虎之助の木槍へ絡ませ、自分の方へ引っ張ったのである。


虎之助としては、自分の槍を持っていかれない様に握っている腕に力を込め、更に自分の腰の重心を後ろに移動する為にほんの少し腰を沈めた。


沈めたと思った瞬間に、木槍が引っ張られる力がスッと消えた。そう思った瞬間、胤栄の木槍が突然今まで無かった方向から現れたのである。


腰を下ろし、重心を下げた刹那、踏ん張った僅かな時間だけ、体が止まる。ほんのわずかな間だが、正に金縛りにあった様に止まる。


身動きが出来ない虎之助が(ヤラレル・・・)と覚悟を決めた時、胤栄の木槍が虎之助の体の前でピタッと止まった。


二人の初対戦は30秒に満たないモノであったが、虎之助には十文字槍の恐ろしさが充分伝わった。


初手合わせを終えたばかりの虎之助には、成す術なく終わった事がショックというよりも、自分の行動が読まれて、動けば動くほど術中にはまっていった事が恐ろしかった。正に手の平で転がされたという感じを受けたのである。


十文字槍という武器が、隙が無い完璧なものに見えていたのである。


虎之助の茫然とする顔とは対照的に、胤栄の顔は笑顔であった。


『その巨体で、良くワシの動きに反応できたのう、愚鈍な反応であれば、十文字槍の型を見せる事も出来なかった。初めにしては、上出来じゃ。良く鍛錬されておるのう。』と胤栄は、笑顔で虎之助に語りかける。


『ワシの槍術の基本は、先を取る事じゃ。先とは、相手の雰囲気に飲まれず、逆に相手を飲み、自分の土俵に相手を乗せる事じゃ。』


先ずは、その考えを念頭に、今日からの修業に励んで下され。』


『矛盾するように聞こえるかもしれんが、先ずは十文字槍の攻撃になれる為に、ひたすらワシと才蔵の攻撃を受けて下され。』


『ワシらの攻撃を防御ができるようになったら、攻撃の仕方をお教えしよう、その時は、ワシが判断するので、ワシを信じて着いて来てくだされ。』


胤栄は、そう言うと、自分の木槍を才蔵へ渡し、ヒゲ殿の隣に移動した。


ヒゲ殿が、3人に対して今後の修業方針を宣言する。


『これから3ヶ月虎次郎は、胤栄殿、才蔵殿と3人で修業をする、力士と久次郎は私と修業を続ける。虎次郎には時間が無い、精進せいよ。』


『承知致しました、宜しくお願い致します。』と3人は声を揃えて返事をした。


新しい修業体制で再スタートる事が決まる。


虎之助は胤栄の監督の元、才蔵と木槍を持って向き合う中、ヒゲ殿と力士、久次郎3人は、ヒゲ殿の先ずは話し合いをするという提案で、神社の中でも特に静かな神楽殿の方へ行ってしまった。


虎之助は3人の動向が少し気になったが、考える暇も無く、才蔵の鋭い突きが襲ってきたので気持ちを直ぐに切り替えた。


(残り3ヶ月、とにかく与えられた試練に集中し、乗り越えられるように努力するしかない)


虎之助の決意は固まった。

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