明日こそ
これって太陽っていうのかな
これって食べ物っていうのかな
太陽って眩しいな
食べ物って美味しいな
ここって川っていうのかな
ここって自然っていうのかな
川って気持ちいいな
自然って綺麗だな
上から来る物も川の物かな
自然の物かな
この自然って神様かな
仏様かな
上に出たみたい
掻き上げられたみたい
痛いな
苦しいな
これから僕はどこへ連れてかれるんだろうな
また水の中だ
もう痛くない
もう苦しくない
神様が許してくれた
神様って優しいな
でもここ狭いな
川みたいに気持ちよくないな
他の子がいるから安心だな
でもやっぱり不安だな
水が揺れると
皆んなが慌てる
そしたら僕も慌てる
皆んなが木の棒の下に隠れる
そしたら僕も隠れる
上からギラっと大きい目玉で見られてるな
嫌だな
怖いな
とっても大きな手が降りてきた
でも何だろうな
面白そうだな
叩かれた
怖くなって逃げる
他の皆んなも僕を見て逃げる
僕はどうなるんだろうな
僕は殺されちゃうのかな
上からいっぱい粒が降ってきた
いい匂いだな
美味しそうだな
その一つを
大きく口を開けて
パクッ
いつもの食べ物より美味しいな
食べてるだけで楽しいな
しばらく僕を眺めて体が大丈夫なことを確かめると
皆んなもその一つを
パクッ
皆んな美味しくてたまらなくて
いろんなところを泳ぎ回ってる
次の日もその次の日も
美味しい食べ物が上から降ってくる
ある子はその栄養で立派な赤ちゃんを作った
いつ生まれるのかな
楽しみだな
いつからか
食べ物が降ってこなくなった
これって神様が怒ったのかな
これって仏様が怒ったのかな
次の日もその次の日も
食べ物が降らなくなった
そしたら
お腹に赤ちゃんがいる子が他の子を食べ始めた
僕もそれを見て
仲間って美味しいのかな
仲間って食べ物なのかな
食べてみよう
美味しい
すごく美味しい
こんなに美味しいなら
最初お腹が減った時から食べていればよかった
友達がお腹の中で暴れる
それをそっと無視して泳ぎ回る
友達が僕を怖がる
何で僕を怖がるの
何で僕が近づくと離れていくの
分からない
気づいたらこの水の中は
僕と赤ちゃんがいる子だけになった
あの子
美味しそう
あの赤ちゃんも
美味しそう
食べなきゃ
美味しい
他の皆んなの数倍美味しい
最初お腹が減った時からこの子を食べていればよかった
その子がお腹の中で暴れる
赤ちゃんも卵からかえって暴れる
生きたいって叫んでる
そんな言葉聞こえない
僕は何も聞こえない
あれ
僕はひとりぼっち
皆んなを食べちゃった
これって悪いことなの
これって神様や仏様が怒ることなの
そんなことない
僕は何も悪くない
きっと生きたかっただけ
次の日もその次の日も
やっぱり神様は食べ物をくれない
何で
これって虚しいっていうのかな
これって切ないっていうのかな
久しぶりに
自然に帰りたくなる
ここにいたいって思わなくなる
意識が薄れる
お腹が減った
きっと神様は僕を許して
食べ物をくれる
だから大丈夫
明日こそ
お腹が空いて
中身が空気になる
水面に浮いて
動かない目をキラッと輝かせる
でもそんなの全然大丈夫
明日こそ