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悩む女

作者: すずのすず

 ある寒い冬の夜。

 電車を待ちながら私は悩んでいた。

 駅の西口を出てすぐ隣にあるコンビニまでビールを買いに行こうか行くまいかと。


 電車が来るまでに、あと5分ある。

 定期なので駅の出入りにも支障はない。

 だが、万一この電車に乗り遅れると最終バスに間に合わないのだ。

 タクシー代が加算されて、一缶千円になったビールなど飲みたくない。

 問題はコンビニに他の客がおらず、速攻でお会計をして貰えるかどうかだ。

 ラッシュもだいぶ前に過ぎたこの時間帯なら、多分、コンビニは空いていると思う。

 ……だが、もし、たまたま混んでいたら……

 

 行くべきか行かざるべきか?

 “To be or not to be”

 心はまさにハムレットだった。


 あ。


 悩んでいる間に電車が来てしまった。

 私は仕方なく電車に乗った。


 電車の中でも私は悩んでいた。

 降りた駅から少し歩いた場所に、やはりコンビニがあるのだ。

 電車が駅に着いてから最終バスの発車までは約3分。

 必死で走ってもビールを買うのは不可能に近い。

 だが思い切ってその不可能に挑戦してみるか……?

 『諦めたらそこで試合終了だよ』

 どこかで聞いた誰かのセリフが胸をよぎる。

 しかし、手に持って全力疾走したビール缶を開けたら、その瞬間に中身は半分以下になりそうだ。


 私は諦めてバス停に向かった。

 丁度バスが来たところだった。


 バスの中でも私は悩んだ。

 最後の手段として、私が降りるバス停の2つ先の停留所の前にあるスーパーの前にもビールの自販機があるのだ。

 だが距離がかなりあるうえに、帰りがかなりキツイ上り坂なので歩くのが面倒臭い。

 更に、素手で冷たいビールを持って、その距離を歩くのは、この時期、非常に寒い。


 でも、ビールは飲みたいのだ!


 今日は仕事がとても忙しく、お茶休憩をする暇もないまま、ギリギリまで残業。

 喉がカラカラに渇いているからこんなにもビールが恋しいのかとも思ったが、駅でジュースの自販機を見ても全く購買意欲は湧かなかった。


 やはり欲しいのはビールなのだ!


 あ。


 気付くとバスは、私の降りるべきバス停を通り過ぎてしまった。


 これはもう、ビールを買いに行けという天の思し召しに違いない!

 思し召しなら逆らえないよねっ♪


 私はようやく決意を固めた。

 スーパーの前のバス停で降り、自動販売機の前に立つと、財布を握りしめる。

 商品を選ぼうとして顔を上げると、全てのランプに『売り切れ』の文字が???

 ハッと気づいて時計をみると11時を回っていた……

この作品は完全に『フィクション』です

実在の人物(特に作者)とは一切関係ありません

ええ、関係ありませんとも!

『ノンフィクション』ではございません

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