表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最高神になるため、異世界転移者と共に戦う英雄譚!!  作者: 神崎 紅葉
プロローグ 異世界からの侵略
2/2

妬む気持ちと優等生

 曇り空から落ちてきた女子高生は俺を下敷きにして着陸した。

「痛てぇな!」

「あれ?私、死んだはずじゃ…」

「とりあえず俺の上からどけよ!」

「え?」

 女子高生は下敷きになっている俺を見て、慌てて俺の上から退いた。

「すみません!!あの、怪我とかありませんか?」

「俺はねーけど、お前は?」

「おかげさまで無傷です」

「そうかよ」

 俺はその場を去ろうとしたが、女子高生が暗い顔をしていたため、舌打ちして話しかけた。

「お前、なんか悩んでんのか?」

「え?」

「お前の悩みなんざ興味ねーが、暗い顔されてちゃー俺がなんか悪いことしたみたいだから一応…」

 実際、俺たちの周りにいる人たちは全員こっちに注目している。

「何も悩んでませんよ、何も…」

 女子高生はそう言ってその場を去った。が、【スマホ】と呼ばれる端末を落として行った。

「めんどくせぇなぁ」

 俺はそのスマホを持って、女子高生を追った。


 女子高生自体はあっさり見つかった。ただ、誰もいない橋の上で…。

(あいつ、自殺するつもりじゃないだろうな?)

 俺が縁起でもないことを思っていると、女子高生は震えながら橋から飛び降りた。

「バカッ!!」

 俺は急いで川に飛び込み、女子高生を川から引き上げた。

「はぁはぁ…」

 俺は息を切らしていた。とても深く、流れも速い川だったため、それなりに体力を使った。人1人抱えてだから当然か…。

 俺がそんなことを考えていると女子高生はむせ込みだし、目を覚ました。

「起きたか」

「え?なんで貴方が…、ここに…?」

「お前がスマホを落として行ったから、追って来てみりゃ橋から飛び降りやがって。バカかお前は」

「知らない男の人にバカって言われるの、嫌なんですけど…」

 女子高生はそう言って俺が拾ったスマホを受け取った。

「何か悩んでるんだろ?」

「さっきも言いましたが私は…」

「だったらなんで投身自殺なんてした!?」

 俺はいきなり怒鳴った。女子高生は驚いていた。

「なんで…それを知っているんですか?」

「お前のそれ(スマホ)、通知が来てた。家族からの連絡だと思うが、心配されてたぞ。自殺することを伝えたからあんな連絡が来るってバカでもわかるぞ」

 女子高生はスマホに届いてある通知を見て、泣きながら話し出した。

「私だって、死にたくないです!だけど、もう無理なんです!耐えれないんです!」

 女子高生は子どものように大声で泣き出した。俺は羽織っていたパーカーを女子高生に被せた。

「もう誰かに心配させんな」

 俺はそう言って、橋の下に行った。その場は雨が川に落ちる音と女子高生の鳴き声以外の音はなかった。


(今日の宿は旅館か…)

 俺は橋の下で地図を見ながらそんなことを思っていたら、女子高生は俺の元へやってきた。

「さっきは、ありがとうございました…」

 そう言って俺のパーカーを返してくれた。

「そうかよ」

 そう言ってパーカーを受け取った。俺はその場を去ろうとした時、女子高生は質問した。

「なんで、私を助けたんですか?何か目的があるんですか?」

 女子高生は震えながらこちらを見ていた。

「別になんもねーよ」

「え…」

「人の善意に意味を求めるなってことだよ」

 俺はそう言って旅館へ向かった。が、何故か女子高生は後ろを着いてきた。

「お前、家こっちなのか?」

「違いますけど…」

「じゃあなんで着いてきてんだ!家に帰れ!」

「そうしたいけど…」

 女子高生は俯いて言った。

「自殺するって言って、家族に心配させたから…、帰りづらいというか、なんというか…」

(自業自得じゃねーか!!)

 俺は頭をかいて行った。

「勝手にしてろ!」

 女子高生は頷いて俺の後ろを着いてきた。


「2名様でよろしかったでしょうか?」

「違う」「はいそうです」

 旅館の受付員に問われ、否定をしたが後ろにいた女子高生が肯定した。

「お前とはここでお別れだ!」

「ちょっ…」

 女子高生は俺の耳を引っ張って端っこに向かった。

「痛てぇな!何すんだ!?」

 女子高生は「シーっ」と人差し指を立てて言った。そして俺の耳元で話し出した。

「私、お金を所持してないから別の部屋だと困るんだけど」

「お前、俺に金を払わすつもりか!?」

「この借りは返すから、ね?お願い!」

「やなこった!勝手にしろとは言ったが面倒見るとは一言も言ってねえ!」

「そんなこと言っていいのかな?」

「何が!?」

「あなたは今、女子高生と二人っきりで旅館に来ている。私が助けを求めれば、あなたは()()()()()()()()として通報されるわよ?」

「お前っ、汚ねーぞ!」

「そういう事だからよろしくね、お兄さん」

 女子高生はそう言って俺から離れた。

 俺は渋々認めることにした。受付員は俺と女子高生に部屋を案内したが、部屋が問題だ…。

「なんでこいつと同じ部屋なんだ!?」

「大変申し訳ございません。ただいま空き部屋がこちらの部屋しかございませんので、何卒ご理解、ご協力の方よろしくお願いします」

「ありがとうございます!」

 女子高生は受付員にお礼を言い、受付員は受付に戻った。

「ふざけんな!なんでこいつと同じ部屋なんだよ!?お前、廊下で寝てろ!」

「嫌ですよ!」

 俺は舌打ちして、部屋の中に入り、座布団の上に座った。女子高生も続いて俺の正面に座った。

「なんで正面なんだよ」

「し、仕方ないじゃない!ここしか座る場所がなかったんだから」

 悪態とっていては埒が明かないと思い、俺は話題を変えた。

「お前、名前は?」

佐藤結菜(さとうゆいな)。あなたは?」

「俺は…」


(ハデスの行動は調べて欲しいけど、アキがバレる事だけは避けてね?)


(本名は隠した方が良さそうだな…)

水上忍(みずかみしのぶ)

「そう、一晩の関係だけどよろしく」

「言葉だけ聞くと犯罪者みてぇだな」

「それは我慢して」

 女子高生はそう言って腕を組み明後日の方向を向いていた。

 佐藤結菜。綺麗な薄肌色の肌に丸くて黒い目、茶髪で肩まで綺麗に伸びたボブヘアに、少し膨らんでいるお山が二つ。小柄だがスタイルはとてもいい。高校生だとわかったのは制服を着ていたからだ。

「ねぇ」

「んだよ」

「先、お風呂に入っていいかしら?」

「別に構わねーけど」

 結菜はそう言って風呂場に向かったが、風呂場のドアの前で立ち止まって一言告げた。

「覗いたりしたら、許さないから」

「お前の入浴なんざ誰も覗かねーっての」

「何それ、少し傷つくんだけど」

 結菜はそう言って風呂場に入った。

「こんなことしてる場合じゃねーんだけどな…」

 俺はそんな言葉をこぼして、濡れた自分の髪を拭いた。


 お互い風呂に入り、夕食を済ませ布団を敷いて各自布団の上に座っていた。

「ありがとうね、いろいろと…」

 結菜はいきなりそう言った。

「てかいつから馴れ馴れしく話していいって俺が許した?」

「流れで…、って言うか気づくの遅くない?」

「うるせぇ」

 俺は布団に身体を入れ、寝る体勢をとった。

「なんでお前は自殺しようとしてたんだ?」

 俺が寝ながらそう問うと結菜は暗い声色で話し出した。

「私、()()()()()()()()()()

「は?」

 俺は結菜の方を向いた。

「それ以外で自殺する人なんていないでしょ?」

「そうだが、お前をいじめる理由がわからねーから…」

「口は悪いけどいい人だよね、忍って」

「話を逸らすな」

「ごめんごめん。確かにいじめられる理由はとても不思議なものだよ。だって私、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だから」

「お前、自慢してんのか?」

「違うわよ!!」

 結菜は一息して話を続けた。

「私は確かになんでもできるとは言ったけど、初めからできたわけじゃないわ。ちゃんと努力して、それが結果になってるだけ。だけどできることを妬む人が多くてね。友達だった子はだんだん離れていって、一人になって、最終的に妬みがエスカレートしてうざいっていじめられるようになった」

(できるからいじめられる、か…)

「最初は物を隠されるとか、自分の席の机に落書きされるぐらいだった。だけど、日が経つにつれて酷くなって、サンドバッグにされたりして耐えられなくなって…」

「学校側はそれを知らないのか?」

「証拠がないというのと、多人数による意見で私の話は嘘として扱われているわ」

(優等生(仮)の話を嘘として扱う程とはなかなか酷いいじめだな)

「そして昨日、私の身体を好き勝手にしようと男が7人がかりで襲ってきて、私は逃げた。もう生きたくないって思った。下半身裸で、性欲魔人の男たちが怖くて怖くて…」

(そりゃー死にたくなるわな)

「家族には話してないのか?」

「話せるわけない!そんな事したら余計な心配をかけるじゃん…。私には弟がいるから、しっかりしないといけないのに…」

(姉という責任と心配させないという気持ちで家族には話せず、自殺するため、遺書を書いた感じだろう…)

 俺は起き上がって優しく言った。

「辛かったな…」

「え…」

「辛かったよな、苦しかったよな…」

「なっ、何いきなり…、今日知り合ったあんたに何がわかるのよ…」

「強がるなよ!!」

「ッッ!?」

「お前の辛さは聞いてるだけでわかる。普通、耐えれねーよ。だけどお前は今日まで耐えた…。おそらく俺が思う辛さよりも辛いに決まってる!だから…」

 俺は結菜の肩に手を置き、告げた。

「もう、一人で抱え込むなよ…」

 結菜は泣くのを数秒我慢したが、感情が込みあがって泣き出した。

「私、頑張ったよ…!頑張って生きてきたんだよ!なのになんで誰もわかってくれないの!?私の努力を、苦しみをなんでわかってくれないの!?なんでっ…」

 それから俺の胸元を握りながら泣き出した。俺は気が済むまで結菜に付き合った。

飛び降り自殺に巻き込まれたことで知り合った俺と結菜。ラブコメのような出会いとは裏腹に悲惨な事実を知った俺。窓に視線をやった。外の雨は少し弱くなっていた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!作者の神崎紅葉です。

『最高神になるため、異世界転移者と共に戦う英雄譚!!』二話、いかがでしたか?少しでもいいなと思ってくださったら、ブックマーク、感想などよろしくお願いします!


前回の空から落ちてきた女子高生、佐藤結菜はできる故にいじめられてしまった女の子。ラブコメのような出会い方をしたのに、実はとても苦労しているという子です。

次回は佐藤結菜の高校が舞台!!お楽しみに!

それでは、またどこかで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ