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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「 夏のホラー 2021 」投稿作品

☀ 天狗の森「 夏のホラー2021 」

作者: 雪*苺


 これは私がだ子供で、両親と共に田舎へ帰っていた頃の出来事です。


 私の両親は同じ村落の出身で、仕事の都合で両親は都会で暮らしていました。


 夏休みになると、両親に連れられて、両親の故郷でもある村落へ里帰りしていました。


 父方の両親,母方の両親と親戚や従兄弟,従姉妹,再従兄弟,再従姉妹…たちと過ごした事は、大人になった今となってはい思い出になっています。


 あの子は今も元気でしょうか?











 両親の故郷へ里帰りすると、私は村落の子供達に混ざって遊んでいました。


 朝から日が暮れるまで遊んで毎日が楽しかったです。


 私が小学5年生ぐらいの夏の日、村落で “ 天狗の棲む森 ” と呼ばれ、立ち入りを禁止されている森の中へ入り、 “ かくれんぼ ” をして遊んだ記憶があります。


 村落では、 “ 天狗の棲む森 ” へ立ち入ってはならない──、“ 天狗の棲む森 ” で “ かくれんぼ ” をしては──、天狗に拐われる──、天狗になるぞ──、などと言われていました。


 大人達がそれほど迄に “ 天狗の棲む森 ” を恐れているのか子供だった私達には分かりませんでした。


 ゆうを一切説明してもらえず、「 駄目なモノは駄目だ 」と頭ごなしに言われていたからです。


 だから、ほんとうに “ 天狗の棲む森 ” に天狗がるのか──、天狗に拐われるのか──、天狗になるのか──、検証する為に大人には内緒で、子供達だけで “ 天狗の棲む森 ” へ入り、 “ かくれんぼ ” をして遊んでいたのです。


 子供なりに真剣だった天狗の検証も、大人達からすれば、相当な罰当たりの行為だったようです。


  “ 天狗の棲む森 ” で “ かくれんぼ ” をしたのは1度だけではありませんでした。


 すうじゅっかいは “ かくれんぼ ” をしていたと思います。


 私が夏風邪を引いてしまい、父方の祖父母の家で眠っていた日も、子供達は “ 天狗の棲む森 ” へ入って “ かくれんぼ ” をしていたそうです。


 風邪が治り、顔見知りになった子供達とどおり遊ぼうと外に出ました。


 けれど、子供達はか暗い顔色をしていました。


 そして、その日以来、 “ 天狗の棲む森 ” へ入る子供はなくなりました。


 あとで分かったのですが、私が風邪を引いて寝込んでいた日、 “ 天狗の棲む森 ” の中で数人の子供が行方不明になったそうです。


 大人達は血相を変えて “ 天狗の棲む森 ” へ入り、行方不明となった子供達を探したそうですが、結局その日は見付けられなかったそうです。


 大人達が見付けたのは、行方不明になった子供達ではなく、なにものかに壊された祠でした。


 祠は森に棲む天狗を鎮める為に、建てられていたそうです。


 大人達が壊された祠を新しく建てなおした翌日、行方不明となっていた子供達が発見されたそうです。


 子供達は既に死んでおり、子供達の周りにはくろ(ぐろ)とした鳥の羽根がなんじゅう枚も落ちていたそうです。


 “ 天狗の棲む森 ” で “ かくれんぼ ” をしていたから──、祠を壊したから、怒った天狗に連れ去られ、天狗にされたのだ──と大人達はくち(ぐち)に言っていたそうです。


 立ち入りを禁止されていた “ 天狗の棲む森 ” へ入った子供達は全員、会所へ集められ、大人達からこっぴどく怒られたそうです。


 天狗に選ばれなかった子供達が安全だとは言えないらしく、身体からだかに掴まれたような黒い痣が出来ていると、天狗に拐われて、天狗になるそうです。


 私は風邪で寝込んでいたので会所へは行っていません。


 話を聞いた私は、お風呂に入った時に、黒い痣がついていないか身体からだ中を調べましたが、黒い痣は見当たりませんでした。


 ホッとした記憶がありますが、私の枕元に置かれていた赤ぐろく染まっていた大きな羽根はなんだったのでしょうか?


 あの羽根はなんの羽根だったのでしょうか?


 気味が悪いと母親に言われ、捨てられてしまったので、手元にはありませんが、あれは天狗の羽根だったのでしょうか?


 亡くなった子供達の命日になるたびに、私の元へ届く赤ぐろい大きな羽根…。


 あの天狗事件から、もうぐ20年が経とうとしています。


 あの村落は、ダムの底に沈んでしまっているので、今はもう訪れる事は出来ません。


 “ 天狗の棲む森 ” も建てなおされた祠もダムの底です。


 それでも私の元には必ず、命日になると届くのです。


 天狗の羽根らしき物が……。


 これはなにを意味するのでしょうか……。


 命日になるとからともなく聞こえてるのです。


 囁くように「 かくれんぼしよう 」と────。


 子供の頃に、 “ 天狗の棲む森 ” で出逢った知らない子と同じ声色で、私の耳元で囁くのです……。


 一体まで囁き声は聞こえるのでしょうか……。


 私はまで、囁き声に悩まされ続けなければのでしょうか……。






 そして、1年後の命日の日、私にもてしまったのです。


 今はもうダムの底に沈んでしまった “ 天狗の棲む森 ” に暮らしていた天狗が────。

◎ 訂正しました。

  羽 ─→ 羽根

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