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「ほら、海も良いって言ってる、バイト先も近い。お姉様も居る。帰る意味がない」

「そ、そうか、でもほら向こうに住めばバイト上がりに海が迎えに来てくれるぞ、な!海?」


別に追い出す意味は無い。静香がうちに住んでくれるなら飯は美味いし、何も文句はないが、大事な人と過ごす時間もまた大切にして欲しい。

いつ何が起きて、その仲を引き裂かれるか分からない。

この街に俺が居る限りそんな事は起きさせないつもりでは居るが……。


「そうか!そうだな静香、俺が迎えにいくぞ」

「むぅ、それもありだけど、私が居ると迷惑?」


俺の頑なな態度で勘違いさせてしまったようだ。

さて、どう誤解を解くべきか。

『そうじゃ無いと思うよ、私達は無理矢理大切な人との仲を引き裂かれたから。2人には大切な人との時間を大切にして欲しいんだと思うよ』


同じ境遇の麗奈がフォローを入れてくれた。

「ありがとう麗奈、まあそう言う事だ、静香が望むならいつでも姉ちゃんに会いにくれば良い。海が迎えに来れなきゃ泊まっていけばいい。だけど2人が付き合うようになったなら俺は静香がうちに住むのは反対だ」


「そっか」


俺の反対意見に短く返答を返し、口を固く結んだ静香。

余計なこと言ってしまったかもしれない、俺の一言でスピード破局とかにならないよな?


「大切な人を失う喪失感は半端ねえよ。もっと一緒に居たかった。気持ちを伝えていれば、自分に力があれば。残ったのは後悔ばかりだ」

雪兄も、ぐっと胸を押さえながら悲しそうに言う。

静香は尚も黙って下を向いている。


「麗奈や雪兄やが代弁してくれたけど、大切な人と近くに住めるならそうした方が良いと思うんだけど、どうだ?」


「そうだね。海ごめん。私自分の都合ばかり考えてた」

「お?」


「悠太君の家に住まわせて貰えば、遅くまで料理の研究がし放題、大好きなお姉様にも会える。その事しか考えてなかった」

静香は海と姉ちゃんどっちの方が好きなのだろうか。

一体全体俺が入院してる間、 2人の間に何があったのだろうか。


海は彼氏、姉ちゃんは家族?複雑な三角関係にならないのは、海が底なしに良いやつだからだろう、それとも同性同士のイチャイチャは気にしないタイプか。

「学校でも会えるし、俺はそれでも良いかなと思ってるけど、静香が近くに住んでくれたら俺は嬉しいよ」


「うん、私も。だから家の修理終わったら戻るね?」

「おう!楽しみに待ってるな!それにしても……静香にそんなに好かれるなんて、悠太の姉ちゃんがどんな人か気になるな!」


「お姉様は凄い。事件の日から毎日私を抱きしめて一緒に寝てくれて、底抜けに優しくて甘やかしてくれて、私が間違った事をした時にはちゃんと注意してくれる」

俺の知ってる姉ちゃんだ。抱きしめて寝るのは姉ちゃんが人が一緒じゃないと眠れないからだ、

同性で年下の女の子だから、俺に接するのと同じように接していたのだろう。残酷な現実を静香に突きつけるのは可哀想なので黙っておこう。


「凄く母性に溢れた方なんだな!悠太もそんな人が姉ちゃんで羨ましいな!」

「姉ちゃんはやらんぞ?」

「俺には静香がいるから」

この野郎、さっきまで俺に弟子入りを志願していた癖に彼女が出来た瞬間早速惚気か?


「母性といえば。お姉様は物凄く胸が大きい。あの胸に抱かれて眠ると安眠できる。ここ2日間出張の所為で居ないから私は今寝不足」

胸は菜月姉ちゃんが、自称唯一葉月姉ちゃんに勝る自慢の胸だから……こいつやっぱり胸目当てだったんだな。

決めた、仮に姉ちゃんがその気になってもこいつには姉ちゃんはやらん。姉ちゃんは俺のだ。


「静香……もしかして俺より悠太の姉ちゃんの方が好きなのか?」

遂に聞いてしまった禁断の質問、みんなも気になっていたようで食い入るように静香に視線が集まる。

付き合うと決めた以上、海に好意を持っている事は間違いない、でもこの静香の姉ちゃんスキーぶりは怪しい。


「海の方が好きだよ。でもお姉様は別腹」


つまり百合は別腹、そう言う事。と言って席を立ちこの話題を終わらせた静香は、涼夏を連れて風呂に行った。


「なぁ悠太、静香俺の方が好きだって!」

うへへ、と気持ち悪い笑みで喜んでいる海に、この先の不安を拭えない俺であった。

まあ、同性とは言え浮気は浮気だ。超常識人な唯と涼夏の友達である静香がそう言った事はしないとは思う。

美鈴…………はまあ、置いておくとして、きっと大丈夫だろ!そう願う事にした!


続く。

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