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雨のち曇り、たまに晴れ。金髪不良の男の娘と、失声症で無表情なお姉さんが約束で繋がるお話(7巻連載中!)  作者: 柊ゆきんこ
7巻①姉ちゃんが世界一

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玄関で靴を脱ぎ、リビングに入ると、視界に飛び込んできたのは、同居人ご自慢の大きなお尻だった。


 膝を曲げて大きなそれを突き出している。

 ロングスカートで隠れちゃいるが、すげぇずっしりとした重みが見て取れる。

 


「お姉さんのお尻にキスしなよ」


 煽って来るバカは一旦放って置いて、リビングのカーテンに目をやると、夜風にゆらゆらゆれている。

 カーテンの横では、千秋は盗み聞きが後ろめたいのか、気まずそうにしていた。


「お姉さんのお尻にキスしなよ」


 聞こえてねえわけじゃねえよ、どうしてやろうか考えていただけだ。

 何せ今日は血が滾ってる、普段ならやらないことだってできる。

 つまり麗奈の申し出をご褒美として受け取り、キスしてやるのもやぶさかではない。

 でも素直にキスしてやんのもなあ、せめて英語で言ってくれれば。

 

「Kiss My Assの意味知ってんのかよ」


「きっすまいあす」


 拙い英語を喋り、チラチラと俺の顔を振り返りながら、麗奈がお尻をフリフリ、動きに合わせて揺れるスカートがとてもとても扇情的だから。


 俺はそのお尻を小突く程度に蹴り上げた。

 うお、足の甲が沈み込む、表現のしようがない気持ち良さ、踏んだらすっごく気持ちいいんだろうな。

 

「へぶっ」


 手を着いて受身を取ったものの、麗奈は顔面をフローリングに打ち付けて声を上げた。


「わりぃ、Kick My Assって聞こえたわ」


「……痛いよぅ」

 

 天井を向いたお尻に近づき、ロングスカートを捲りあげた。青い下着に包まれたお尻、肌の部分にそっとキスをする。

「ひゃん!」


 麗奈は慌てて立ち上がり、お尻を手で押さえて隠した。


「ほんとにキスした」


「ふっ、お前がやれって言ったんだろ」


「スカートの上からだと思ったの」


 自分がやられる側に回った途端、何を生娘みたいなことを言ってやがる。

 俺だって見られながらするトイレは恥ずかしいんだぞ。


「それに……沙織にちゅーした口でお姉さんのお尻にちゅーした」


 それは間接的に、沙織さんは麗奈のお尻とちゅうしたことにならんか?ならんな。


「麗奈のお尻ならご褒美だ。青い下着、眼福だったぜ、ご馳走様」


「つっ――今日の君はほんとずっこいっ」

 麗奈が赤くなった顔をぷいっと背ける。


「二人の世界を作らないでくださいよ!」


 千秋が飛び込んできた。文字通り。

 羽のように軽い体を受け止めてやった。

「今いいところだろうが、邪魔すんなよ」

「ねえ、悠太、お姉ちゃんのお尻はどんな味でした?甘かったですか?どんな匂いでした?」


 


「汗の味」


 車で病院行って帰ってきた上、麗奈は体質的に汗っかきだ。匂いに関しては教育に悪いからノーコメントとしておく。

 許されるならば、麗奈のロングスカートの中に住みつく権利が欲しい。教育に悪いし、引かれそうだから言わないけど。

「言わないでよ」


 汗っかきなことを気にしてるのが、もう可愛い。


「麗奈お姉ちゃん恥ずかしがってて可愛いです!」


「話のわかる妹は大好きだぞ、もっと言ってやれ」


「わーい!お姉ちゃん美人!お尻の女神!」


 と囃し立てる千秋に、麗奈はわなわなと肩を震わせて、手を硬く握り込んで羞恥に耐える。

 これでしばらくはお尻を主張してくることもないだろう。


「悠太、私にもご褒美くださいよ」


 麗奈のように、俺に背中を向けて小ぶりなケツを向けてきた。


「おい、人にケツを向けるなんて失礼だぞ」


「き、キックマイアス」


「そっちかよ!」


「だってキスはしてくれないじゃないですか!」


「キックもしねえよ!?」


「麗奈お姉ちゃんにはフルセットをブレゼントしたくせに!」

 

「ガキにはまだはえーよ、毛が生え揃ってから出直して来やがれ」


 しっしっと追い払う手振りをしてやると、千秋は得意気に口の端をあげて、胸を張った。


 …………まさか。


「悠太と違って生えてますよ」


「これ以上テンションが下がる前に、美代子助けてくる」


 よもやガキのこいつに、勝てる部分が年齢だけだなんて認めたくない。

 だから聞かなかったこととする。

 

「悠太は生えてませんもんね!」


「沙織さんとのやりとりを聞いてたんだろ?麗奈、行ってきてもいいか?」

 俺を小馬鹿にして愉悦に浸る千秋を無視して、麗奈に確認をとる。

 落ち着け、今日の俺は魔王を楽しませるために契約した悪魔だ。


「ちょっとまってね」


 俺が返事に頷くと、麗奈は何かを取りにリビングを出ていった。

「悠太は子供です!いだっ!」

 

 尚も俺をコケ下ろそうと無邪気な千秋に、デコピンをお見舞いしてやった。

 麗奈は少ししてから戻ってきた。

 

 手にロープ、割と頑丈そうなやつ。あれで縛られたらマウンテンゴリラですら引きちぎれねえな。

 

「……意地でもいかせないつもりか?」


 麗奈はふるふると首を横にふってから千秋にロープを手渡して、椅子に座った。


「そのロープでお姉さんを縛って」


「わかりました!」


 麗奈の指示に従って、千秋が麗奈の体にロープをがっちりと巻き付けていく。あっという間に椅子と一体化した麗奈。


「お姉さんの気が変わる前に行って」


「は?」


「一緒に行きたくなっちゃうから早く行ってくださいと、お姉ちゃんは言ってます」


「はぁ、わかりました」


 釈然としねえし、空気が全くしまらねえけど、許可は得た。

「ちょっくら行ってくるわ」


「悠太、琥珀をコテンパンにしてきて」


「任しとけよ」


 俺は負けねえから。

 

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