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雨のち曇り、たまに晴れ。金髪不良の男の娘と、失声症で無表情なお姉さんが約束で繋がるお話(7巻連載中!)  作者: 雪乃奈ゆきんこ
7巻⑤君と、お姉さんの、トラウマ、ほじくって、ほじくって、克服しよ
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「近所迷惑の極みじゃね?」


 麗奈も同じことを考えたのだろう。すぐにブランコを止めた。


「きっと使われてなかったんだね。あれから四年も経ってるのに」


 子供を狙った通り魔の犯行って世間的に報道されれば、そんな場所で子供を遊ばせるのは不安だ。

 

「そのうち無くなったりすんのかな」


「このまま使われなければ、そのうち」


 取り壊されて新しい家が建つ、最近じゃよくある話だ。

 単純だな、俺も。忌むべき嫌な場所なはずなのに、思い出を作られたお陰で、ちょっぴり惜しい気がしてきた。


「お姉さんはね。ここが嫌いで、ここが好き」


 同意見。出会いの場所だから。


「俺も、お前に塗り替えられちまったよ」


「これからも、君の嫌な記憶は、お姉さんが塗り替えるよ」


 頼りになるお姉さんだこと。

 

「眠れそう?」


「そうだな。少し眠たくなってきたかも」


「お姉さんのおかげだね」


「おう。なんつーか、大分荒療治だった」


「大丈夫?もう一回、ちゅーする?」


 歯磨き粉の味と、嗅ぎなれた匂いを思い出して、頬をかく。


「むちゃくちゃしやがって」


「悠太も、お姉さんの体を思いっきり締め付けた」


「安心しただろ?」


「した。心までドロドロに溶け合ってる気がしたね」


「なんか表現がエロい。俺じゃなきゃ理性のタガが外れてるぞ」


「お姉さんは君がセクシー過ぎて常にタガが外れてる」


「違いねえ」


 ブランコからひょいと立ち上がり、麗奈に振り向く。


「これは、なんだその、いつもありがとうって言うか。少しだけ麗奈の言ってたことに興味を持ったっつーか。まあ、そのあれだ」


 充分な言い訳をしつつ、麗奈の肩を抱く。


「急にどしたの?」


「ちょっぴり、意趣返しだ」


 俺がした予想外の行動に、麗奈の目が見開く。


 俺は、麗奈と、大人のキスをした。

 自分からは大胆な癖に、いざ行動に移されると乙女になる麗奈は、めっちゃ可愛かった。


 ――――――


 家に帰ってきて、一日の疲れと服の中に入り込んだ砂を洗い流して、湯船に浸かっている。


「けだもの」


 後ろから声が聞こえる。一人で入ろうとしたのに、水着で突入してきた麗奈の不満そうな声。


「お前が望んだことの半分にも満たねえだろ」


 『えっちなことしよ』って誘ってきたくせに。


「覚悟ができてない」


 タイミング的にもバッチリだし、前置きもした。なんの問題もねえ。


「そりゃあ回りくどかったかもしれねえけど俺は前置きしたぞ」


「まずは優しいキスからでしょ。いきなり舌を絡められたら、びっくりする」


「めっちゃ可愛かったぞ」


「………………君はずるいね」


 ズルいで結構だ。

 騙し討ちじゃないと、ずっと麗奈にペースを握られるんだから、たまにはこれくらいの仕返しも許されていい。


これにて五話終了でございます。

私的には完結で良いくらい力を入れて書いた笑笑


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