表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
619/667

19頁

19

『お姉さんは悠太の疲れを癒したかったの(/ω\*)』


「それとえっちなことがどう繋がるのさ!麗奈さんの事だから自分がしたかったんじゃないのー?」

 

『それは、そう。お姉さんもしたい』


 見抜かれた上で堂々として潔良いな。

 もう少したじろぐことを期待したのに。


「麗奈さんはしたないですよ!」


『涼夏だって、悠太に飼われることを望んでる癖に』


「!?私はそこまで性癖歪んでないよ!?」


『お姉さんにはわかる。涼夏は生粋のドM』


 あ、俺知ってる。これ刷り込みってやつだ。

 それらしいことを並べて、そうなのかもって葛藤させるやり方。


「えっ……私ってドMだったの?」


 刷り込みするまでもなかった!?麗奈とは別の意味で潔いいっつーか、単純すぎるだろ。


『そう。涼夏はドM、悠太のペットになりたいドM。ペットの仕事はご主人様のストレス、疲れを癒すこと』


「悠くんのストレスと疲れを癒す、私にできるかな」


 前半部分を否定しなさいよ。


『お姉さんも一緒にやってあげるから大丈夫』


「……麗奈さんっ」


 涼夏は、麗奈の胸に飛び込んだ。ギュッと抱きしめて、頬を擦り付ける。


 昔から犬みてぇだなって思ってたけど、これ以上麗奈と濃厚に絡んだら本当に犬にされちまうんじゃないかって、ちょっぴり心配をしてみたり。


『二人で悠太を癒そうね(*-ω-)ヾ(・ω・*)ナデナデ』


「はいっ!」


 そのうち「わん!」って返事をしたり「へっへっへっ」って舌を出したりしねえよな?


「春日くん。美少女ふたりがあなたを癒してくれるって言ってるわよ。幸せものね。控えめに言って砕け散ってちょうだい」


「……うっす。俺も砕け散った方がいいような気がしてきたっす」


 世の男性が知ったらめちゃくちゃ恨まれるだろうよ。

 口には出さねえけど二人じゃねえもん。


「でも、先生にも砕け散って貰いますからね」


 俺は不敵に口角をあげた。


 

 気持ちのことはどうにもならないって静華は言ってた。俺もそう思う。

 だけど、小笠原先生は立花先生を気に入っていて、立花先生も悪く思っちゃいない。


 ならくっついて貰いましょうかねえ。ちょうどおもちゃの弓矢を貰ったことだし。


 愛のキューピット役なんて柄じゃねえけどな。


「先生の私服、良いっすね。綺麗だと思う」


 まずは自信をつけて貰うために褒めた。


「そう?地味だと思うけど」


 地味なわけがあるか。

 落ち着いたベージュのロングスカートに、Vネックのブラックトップス、気品に満ちた落ち着いた大人の女性らしい佇まい。

 ワンポイント、首元に下げられたネックレスもめちゃくちゃ似合ってる。




「俺じゃなきゃ一目惚れっすよ」


 先生は気付いてないけど、道行く男性の視線は先生に釘付けだ。


「いてっ」


 先生を見ながら歩いてた男性の一人が、電柱に頭をぶつけた。


「でも、一目惚れって、それは……体目的じゃないの?」


 

「麗奈って、多分俺のこと一目惚れなんすけど、中身も見てくれてて……ようは一目惚れってのはきっかけで、大事なのは、やっぱ性格なんじゃないすか?」


 麗奈は無理強いもしてくるし、俺が恥ずかしがることを好んでしても来る。

 けど、麗奈は優しくて、暖かい。お姉さんぶって世話を焼いてくれる。


 何よりもどん底にいた俺を掬いあげてくれた。


「あなたたちを見てると一目惚れも悪くないかもね」

 

「ですね。後……先生は共依存は良くないって言ってたっすよね」


 涼夏と、はしゃいでる麗奈を横目に、言った。


「ええ、留年してまで春日くんと一緒にいたいって、少し危険な思想だと思ったのよ」


「まあ、留年に関しちゃアホだなとも、嬉しくも思うっすね。要は今日って環境作りさえちゃんと出来れば問題ないと思うんすよね。麗奈にとっちゃそれも環境作りなだけで」


 俺の卒業は待てないけど、一年は我慢できるてきな。


「周りの人を巻き込んでの環境作りって言うのはいただけないけど」


「っすね。迷惑かけてんのは申し訳ないと思ってます。でも、俺たちまだガキっすから!ガキの間は、好きにやらせてください。ダメだったらその時ちゃんとケツは持つんで」


「随分男らしいのね。別に私のことなんて納得させる必要なんてないでしょう?ただの保健室の先生なんだから」


 先生は困ったように笑みを浮かべた。

 担任の立花先生が何も言わない以上、小笠原先生が口出すことじゃないけども。


「味方してくれるって言ってくれたんすから、納得のいく説明をするのは当然でしょ」


 小笠原先生が、先生という肩書きの垣根を越えて、いい大人として俺を応援してくれるなら、恋愛に関しても応援していて欲しい。それだけだ。


「そうね。春日悠太くんの良き理解者でありたいわ。あなたたちがどんな大人に成長するか、楽しみで仕方ないもの」


 先生は笑ってくれた。

 どうにか、わかってくれたようだ。


 涼夏が、麗奈とのイチャつきが終わって、こっちにきた。

 俺の前まできて立ち止まり、その場で大きな目を伏せ、モジモジ。

「……あのね、そのね」


 何か言いたいことがあるのか、しり込みしている。視線は定まらず、あっちをキョロキョロ。

 その姿を、少し後ろで麗奈が見つめている。


「どうした?」

 トイレか?などと茶化したりはしない。麗奈に何かを仕込まれたに違いねえ。

 可愛い瞬間を見逃してなるものか。


「……ご主人様っ、すずわんを可愛がって欲しいわん!」


 ―――――

 

……すずわん(*´ノi`)・:∴・:∴・:∴・:∴

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ