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「……揉め事か」
「大揉めになると予想してる。下手したら立花先生が教員生活を続けられないかも」
「は?何を知ってるんだよ、教えてくれ」
「先生が喫茶店でデートしてるところをこの間たまたま見かけて。春日くんは、立花先生があんな綺麗な人とデートしてるなんて思う?」
「そりゃ変わる前の立花先生なら有り得ねえよな」
「そう。だから悪いと思いつつも、聞き耳を立ててたんだけど、先生が席を外した時ね、女性が電話をしてたの。新しいカモができるかもって言ってた」
モテたいって努力して、身だしなみ整えて、仕事も頑張って生徒達にも慕われ始めた。
なのに出会っちまった女性が美人局なんて、マジで報われねえ。
あの浮かれ具合は相当熱を入れ込んでる証拠。
可哀想通り越して、哀れだ。
「聞き間違い……じゃねえよな」
スっと頭の熱が引いていく感覚。怒り出したいのに、いやに冷静で、情報の正確性を確かめる。
「うん。その後、搾り取れるだけ搾り取ろうって話してるのも聞こえたよ。貯金はなさそうだけど公務員だから、毎月ある程度引っ張れるかもって」
それって、ほぼほぼ初対面の人に、先生が貯金と職業明かしたってことだよな。
浮かれて何喋ってんだよ。そんなもん初めから騙す気マンマンじゃねえか。
「はぁ」
ため息をつく。仕方ねえから救ってやる。そんで、まあ、愛のキューピット?もやってやるか。
「悠くん!助けてあげようよ」
涼夏が胸の前で、拳を握りながら言った。
「そのつもり。静華、姉ちゃんのことを頼んでもいい?」
「任せて。最高のおもてなしをプレゼントするから……お姉様もきっと悦んでくれるわ」
なんかこいつから、不埒なオーラを感じる。人選ミスじゃねえか?
そんな事を考えていると、涼夏がスマホをいじり、終わるとポケットにしまって口を開く。
「お母さんにもLINE送っといたから!三人でご飯食べてねっ」
「っち」
静華はあからさまな舌打ちをして、嫌そうな顔も隠さず、意気消沈した。
「姉ちゃんをどうするつもりだったんだよ」
「流石に義弟くんの前では言えないわよ」
「弟くんの前で言えないようなことしようとすんじゃねえよ。つーかお前彼氏いるだろ」
「何言ってるのよ。百合は別物でしょ。春日くんは涼夏と麗奈さんがキスしてたらどんな気持ちになる?」
「ドキドキするわ、むしろ鑑賞したいかもしれねえ。でも浮気はやめろ、海が悲しむのはうぜぇから」
「素直じゃないね。そこは海が悲しいと、俺も悲しいって言って、顔を赤らめるところじゃないの?」
「なんだおめー。BLが見てぇのか」
「……ありかも」
『駄目』
「ダメだよ!」
俺も男色の趣味はねえよ。
「ねえな」
「そう。じゃあ妄想で我慢する」
妄想も勘弁して欲しいものである。
静華ちゃんの菜月信仰久しぶりに出した笑笑
私忘れかけてたよ( ̄▽ ̄;)




