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――――


 昼休み。結局良い代案は思い浮かばなかった。

 

 そんなわけで体育館の裏にみんなで集まり作戦会議を開くことにした。

 

「なるほどね。それで立花先生に絡んでいたのね」


 作戦の失敗が確実となった今、友達の協力が必要だ。知り合いの頭数を増やした方がいい。

 だから先生のプライバシーに配慮しつつ、ちょっぴり事情を話した。

 

 美鈴は涼夏吸いをしながら、唯は恋愛絡みの話しと聞いてウキウキで、静華は恐らく真剣に、聞いてくれた。


 ちなみに海は委員会。麗奈は、何か先生に呼び出されたらしく、来ていない。


「んで、いい奴いねえ?大口叩いた以上一人くらい候補連れてかねえとさ」


 立花先生以外で、俺の知り合いなんてノンデリと彼女持ちの二人しかいない。後自称弟子三人組。それとヤクザ。

 

「私に男性の知り合いが居ないのはあなたが一番把握してるんじゃない?もしかして、また、忘れてしまったの?」


 唯は首を傾け、溜息をついた。

 初めて唯に会った日のことだろ。


「覚えてるよ、この非行少女め」


 清楚が似合う、今の唯のイメージとは真逆の言葉だ。

 

「ふふふ、助けてくれてありがとうね。大好きよ」


 俺と唯以外はみんな不思議そうに首を捻る。

 あの時は別に助けるつもりなんて、頭にはなかった。


 唯を取り囲むやつらに、異様な嫌悪感が湧いてきて暴れ散らかしただけ。


 だからお礼を言われると少しモヤッとする。


「助けたつもりなんかねえよ」


「私が勝手に助かっただけ、なのでしょう?理解しているわ」


 唯は、体育館の壁に腰を落ち着け、微笑んだ。

 

「そう言えば唯と春日くんのエピソードって聞いたことないわね」


 美鈴が言った。

 

 唯はともかく俺はの口からは語れねえ。

 いじめられっ子だった過去なんて、記憶の彼方に葬りさりたいだろ。


 今が楽しけりゃなおさら、知られたくないだろ。


「私ね。中学の頃、いじめられてて彼が助けてくれたのよ」


 随分とハッキリ言うんだな。

 別に隠しておいたってやましいことじゃないのに。

 

 

「へぇー、小さい癖にやるじゃない!」


 美鈴に背中をバシバシ叩かれた。


「悠くんは小さいけど王子様だもんねえ」


 涼夏に頭を撫でられた。

 貶されながら褒められても嬉しかねえよ。


「かっこよかった?」

 

 静華がうっすらと口の端を上げて、ニヤついている。

 どうせ可愛かったって言われてへこむ俺が見たいだけだろ。このドS様。


「かっこよかったわよ。正直少し濡れたわ」


 唯は髪をパサってしながら微笑んだ。

 つり目がちの強気な眼を細め、王子様に思いを馳せる、お姫様のように遠くを見た。

 

 そんなに遠くを見なくても、俺はここにいるよ。小さくて見えないかもしんないけど。


「分かる!濡れる時、あるよね!」


 涼夏が言った。


「私は涼夏と話してる時、いつもビショビショよ」


 美鈴が言った。


「よくわかんねーけど、気温とか緊張のせいじゃね?」


 

 暑いと汗かきやすいもんな。思い返せば唯を助けた日も、夜になっても暑かった日だ。

 喉が渇いて余計イライラしてたんだ。


「あー、暑いと蒸れるものね、上も下も。汗も溜まるから匂いとか気になるのよ。悠太くんと話すと濡れるし」


「夏は制汗スプレーが手放せないわね」


「私も蒸れるよ!上!」


 静華が共感し、涼夏はなんかしらんがアピールしてきた。


 胸か。

 デカイとそういうこともあるのね。ってことは涼夏とは無縁の話じゃん。


「そうだな。蒸れるんだな」


 涼夏は笑顔で圧をかけつつ、コクコクと頷いた。

 わかりやすい正解で助かったぜ。


 じゃあ下ってなんだ?緊張とかで汗かくって言ったら足しかねえか。


「別に気にならねえんだけどな」

 思ってることがつい口から出た。

 本音だ、靴履いてるから脱がなきゃバレねえだろ。


「だって、悠太くんと……もしそういう事する時に、臭かったら幻滅しない?」


 

 抽象的過ぎてわかんねえけど、なんか触れない方がいい話題な気がしてきた。

 ……みんなで黙りこんで、何か答えを返さないと、いけない空気を作ってやがる。


「俺は匂いとか気にしないけどな。唯はいつもいい匂いだぞ。涼夏も」


「いつも嗅いでるの?」


 唯が目を細めながら言った。

 ほらな、ある筈のない墓穴を掘ることになるだろ。


「嗅いでるわけじゃねえ。漂ってくる匂いのことだ」


「へぇ。素直に言うなら嗅がせて上げても良いのだけど。上でも、下でも」


「いや、遠慮しとく」


 かしずいて、足の匂いを嗅ぐってどんなプレイだよ。

 しかも真夏で足汗が凄いんだろ。もし、とんでもない匂いだったら、流石に取り繕える気がしない。


「あれ、悠くん私の匂いはチェックしたのにー」


「はぁ?」

 なんで恥ずかしがってたくせにバラすんですかねえ。

 それと貴女のペットの美鈴が、俺を「殺してやる」って目で睨んでるぞ。

 ペットの躾が足りてねえんじゃねえの?


「うわ、涼夏のは嗅いだのに、唯のは嗅いであげないの?」


 うわ、静華の野郎、めっちゃ楽しんでやがる。


「涼夏の匂いチェックをしたのは首筋だぞ。お前らの話の流れ的に胸と足だろ?胸は百歩譲っても、足は嫌だよ」

 

「ぷっ」


 涼夏が吹き出した。


「え、春日くんは私のこと、足が臭い女って思われてたのかしら?」


「足なんて誰でもくせえだろ。気にすんなよ」

夏の学校は以下に涼しい場所を探すかだったなー。

追記

2025/07/18

ストック不足で毎日更新は多分今日まで、少し不定期になるかもだけど、楽しみにしててね!

投稿を見逃さないように、良かったらブクマして、お気に入りユーザー登録をしてくれたら、活動報告で最新話更新の通知がみれるよ!


進度はTwitterを見てくれたら呟いてるかも笑笑

@yukinyuki0707

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