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 千秋の事を、雪兄に相談しようと思って、今日は雪兄をある場所に誘った。

 プールに行った日から二日後のことだ。


 夢に関しては進展は無いが、俺はまだ危うい場面に遭遇することも無く生きている。

 ホラー映画みたいに、見た日から一週間とか、期限がついてるものなら対処がしやすいのだが、今回はなんの手がかりもない。

 だから死を回避出来たのか分からないのが、ちょっぴり怖いところである。


 

『今日も暑いねえヾ(。・д・。)涼しい格好してきて正解だった』


 麗奈と二人で雪兄の家に向かっている最中だ。


 見た目は涼しい表情で、麗奈が文章を見せてきた。

 まあ、涼しそうなのはいつもより肌の露出が多い服装だけで、額や顔から吹き出る汗と格闘している。


 マジで暑い。暑さ寒さも彼岸までって嘘だろ。

 お彼岸も終わって、夏休みも残すところあと数日というのにこの暑さ。


「夏休みが終わっても暑さが続きそうだな」


『こんな事なら午前中にしとけば良かったね』


「姉ちゃんが午前だけ休日出勤だったからしょうがねえよ」


 千秋は姉ちゃんに預けてきた。連れ出して一緒に行くには暑いし、これから行くところに面白みもなんもねえから。


「お前も家で待ってても良いんだぞ?」


『千秋の事を雪人と相談するんでしょ?後、お姉さんも報告する事があるから』


「報告って雪兄に?」


『葉月に』


 俺達はこれから姉ちゃんの墓参りに行く。菜月姉ちゃんには内緒で。

 墓の場所も知らないから雪兄に連れてって貰うことにした。千秋のことも話したかったからちょうどいい。


「姉ちゃんの墓前に初対面の麗奈が何を報告するっていうんだよ」


『君と幸せになるって誓いに』


「それは次にしなさい。戦争になるぞ」


 俺も姉ちゃんへの謝罪と、好きな人が出来たなんて報告をしようと思ってたから、麗奈の勝利宣言にも近い報告を聞いたら、嫉妬深い葉月姉ちゃんのことだ。反感を買いかねない。


 反感を買って枕元に立たれるかも。


「いや、今回にするか?いっそ」


 姉ちゃんが枕元に現れてくれるなら、それもありだな。


『今日はやめておきます』


 俺の考えを読んだな。今。

 


「真姫ちゃんのお墓は何処にあるんだ?」


『家にはお墓無いの。お金が無かったからね:( ;´꒳`;)真姫のも、お父さんのも、私が遺骨の欠片を持ってるよ。本当はゆっくりさせてあげたいんだけど』


「良いじゃんそれも。何時でも傍にいられるって事だろ?」


『君は筋金入りのシスコンだもんね。お姉さんもだけど』


「褒められてる気しかしねえな。世間の常識とか知らねえけど、家のお墓で真姫ちゃんと親父さんを供養するのはどうなんだ?」


『葉月の為に大和とお母さんが建てたお墓でしょ?そんな事したら怒られるよ』


「ばっかおめえ。葉月姉ちゃんもひとりじゃ寂しいだろ。大丈夫、春日遺伝子は秋山遺伝子に惹かれるんだから、三人で和気藹々楽しいに決まってる」


『案外真姫と一緒に居たりして(*´艸`)』


 可能性は大いにある。

「だから姉ちゃん出てこないんじゃね?真姫ちゃんと遊ぶのが楽しすぎて」


『なら真姫もお姉さんのところに来ないのも頷けるねウンウン(( ˘꒳˘))゛』


 あの世はあの世で楽しんでるのかもな。華奈ちゃんが存在したくらいだ。幽霊は存在しないなんてもう言えない。


 楽しいから出てこない。お互いの存在に夢中になるほどに。だったら良いのだけど、ちょっぴり寂しくもある。

 会いたくて会いたくて震えた日も合ったんだからちょっとぐらい顔を見せてくれたって。


 そんなことを考えながら、麗奈の顔を見る。


 お互いの存在に夢中になっているのは、俺も同じ事だったな。

 フッと息を吐く。


『お姉さんが汗だくなの見て笑ったでしょ。君があまり汗をかかないからって生意気だぞっ』


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