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 昼飯を食べ終わり、待ち合わせの為に俺たちは駅に向かって歩いている。

 うちから駅までバスを使うも歩くも微妙な距離。小遣いの節約と運動のため、歩いていくことにした。

 真夏の炎天下という事で日差しが肌につきささるように熱い。

 麗奈は髪をハーフアップにして少しでも風通しを良くしているが、千秋は黒い髪をダラりと伸ばしているから見てるこっちが余計に暑さを感じてしまう。


 俺は出掛けに被ってきた帽子を脱ぎ、千秋に被せてやった。


「わぷ」


「お前暑そうだから被っとけ」


 昨日から水族館を楽しみにしてたのに、熱中症にでもなったら可哀想だ。


「悠太は暑くないんですか?」


「俺はこいつの影に入るから大丈夫」


 すっと麗奈の横に並び、影に入る。


『お姉さんも涼む所がほしいね:( ;´꒳`;)今日は暑い』


「マジでな。こんな事ならけちけちしないでバス移動にすればよかったぜ」


「何があるか分からないんですから。歩ける位の距離は歩いた方がいいですよ」


 歩きを提案してきた千秋が言った。


「でも、お前が1番暑そうだぞ」


「このくらいなんともないです。若いので」


「おい。俺もわけぇぞ」


「そうですね。私より小さいですし」


 可愛くねえやつ。こいつ一応俺の事旦那さんとか、呼ぶくらいなんだから、もう少しデレてくれても良くね?

 あまりにもツン成分が強すぎて俺泣いちゃうよ?


『千秋は好きな子をいじめちゃうタイプなんだね(*´艸`)』


「そんな小学生の男子みたいなこと……してますね」


 自覚を無かったのか。わかった途端に、千秋の顔がみるみる赤くなる。


「……悠太?嫌いにならないでくださいね?」


 可愛いじゃねえかよ。ロリコンじゃねえのにときめいちまったじゃねえかおい。ロリコンじゃねえのに。

 


「そんな軽口くらいで嫌いになるかよ。けど、俺以外の奴にはあまりキツい口調はやめろよ?誤解されるからな?」


 願わくば俺にとっての涼夏のように、千秋にも同学年に助け合える友達が出来て欲しい。


「嫌ですね。私が、こんな態度を取ってしまうのは……悠太だけですから」


 千秋はしおらしい態度はそのままに、顔には微笑を浮かべた。

 俺だけ特別扱いかよ。

 好意を持った相手にだけ見せる特別な姿ってやつか。一昔前に流行ったツンデレを思い出すぜ。


「ツンデレかよ」


「あながち間違いじゃないかもしれませんね」


「ツンデレなら否定しろよ」


 ツンデレキャラなら顔を真っ赤にして物凄い剣幕で否定するだろ。

「悠太だってツンデレじゃないですか」


「馬鹿言え!俺がツンデレな訳ねえだろ!」


 ……このように。

 やらかした。これじゃ俺完全に模範的ツンデレじゃん。

 俺と言えば欲望に忠実な男なのに。ちくしょう。


『君はツンデレだよ。ツン3割デレ7割。出会った頃は逆だったかな』


 じゃああと3ヶ月あったらツンも消えちまうかもな。

 違う。俺は男らしく硬派なだけでツンデレなんて可愛いもんじゃない。


 そう。硬派なんだ。


「……俺は硬派なんだよ」


 今更口にしたって後の祭りだけど、俺が俺である為、主張だけはしておく。

 そう、硬派な男はとっつきにくく、懐に潜り込まれると、身内に甘くなるのだ。


 

 

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