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『麗奈。どうして俺に着いてきてくれないんだ。寂しくて俺死んじゃうよって顔に書いてあった』


「そこまで思ってねえよ。つか、琥珀さんとどこ行くの?」

 


 麗奈と琥珀さんは友達同士だから一緒に出かけてもおかしくねえけど、うちに来てから俺に付きっきりだったから、本当に珍しい。


『それは、乙女の内緒』


 これは掘り下げても教えてもらえなさそうだ。


「じゃあ、代わりに私がいっても良いですか?」


 代打を打って出たのは千秋だ。

 別に保護者が居ないとダメな訳じゃねえよ。


「良いですよっ。千秋ちゃんだっけ。悠太くんの親戚ですか?」


 葵さんが千秋の目線に合わせて腰を曲げ、問いかけた。


「将来を誓った仲です」


「ロリコンですか」


 葵さんにロリコンの疑いを向けられたのは、何故か千秋。

 両手でガッシリ肩を掴み、真剣な眼差しで千秋を見ている。


「違う。違いますよ。ロリが好きではなくて、好きになった人がロリだった。そう。それだけ」


 ロリにロリって言われた。


「そう。千秋ちゃんも……いいよ。悠太くんの妹役で良ければ一緒においで」


 姉が妹に変わっただけではあるが、そもそも友達に彼氏を紹介する会食に姉妹を連れてくるのはどうなんだ。

 葵さんが良い人だから、その友達も良い人だと予想できるけど。


「迷惑にはならないすか?」


「ぜーんぜん!問題ないですよ。なーんて言うか家族を大事にする面倒見の良いお兄ちゃんだって思ってくれるはずです」


 凄く都合よく捉えてくれれば、そう思うこともあるかも。

 葵さんに彼氏がいないことを心配してあれこれ言ってくれる人たちだって聞いてるし、杞憂で終わればいいが。


「葵さんに迷惑かけないように、当日はちゃんとお兄ちゃんしてくださいねっ悠太」


「……へいへい。おまかせあれ。お姫様」


 本当に口の減らないワガママ娘だこと。

 決まった事だから仕方なし。


「葵さん、明日仕事すか?」


「えーと、明日は休みですよ。」


「なら、予行練習という事で明日出掛けません?こいつらも連れてですけど」


 置いてこようとしても着いてくるからな。


「……私も良いんですか?」


「お前どうせ暇だろ?夏休み入ってあんま遊んでやれなかったからついでだ。ついで」


「デートですね?」


 男一人に女性が三人で出掛けることをデートとは呼ばねえだろ。もしかして千秋は他の二人を意識の外に外している?


『悠太から誘うなんて珍しい。槍が降る』


「もしかして、私。狙われてる?」


『ありえない。お姉さんが居る場で他の年上に見向きをするはずが……( º言º)』


「話を擦り合わすため思い出話を作っとかねえと、いつボロが出るかわかんねーだろ」


 彼女がいた事なんて無ければカレカノが何をするのかも、麗奈からさっき聞いた程度の知識しかない。

 しかも嘘が超苦手。思い出話を作り上げるなんててんで無理な話。


 なら嘘が嘘にならない範囲の思い出を作っておけば、いざと言う時に役に立つかもしれない。


「そうですね。私も嘘をつくのは苦手なので、お互いの好みとかは把握しておいた方が良いかもしれないですね」


「後は、もう少し砕けた喋り方しないと、随分距離のある恋人同士だと思われちゃいそうです」


 千秋の指摘は的確だ。


『でも巨乳系(ꐦ^^ )年上敬語魔王なら身近にいるよ』


 巨乳って言う時にムカつくならわざわざ付けるなよ。


「あの人は誰にでも敬語だろ」


 キレた時以外。


『じゃあ貧乳系年上敬語美代子とか』

 

「あの人なんでまだ敬語なの?初めて会った時タメ口だった気がするけど」


 ……っと、葵さんと俺の話なのに身内ネタで置いてけぼりにしてしまう。


「カレカノなら、タメ口の方が、いいで、いいよね?」


 恥ずかしそうに言わないでください。ぶっちゃけ可愛いです。


「友達とタメ口なら、俺もその方が良いんじゃ、ねえかと思いま……思うぜ」


 そして羞恥は伝染する。


 

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