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「葉月姉ちゃんが俺に嘘つくわけ……ああ、人の形になるまで38週間くらいかかるってこと?それくらいは知ってるぞ」


『悠太。葉月でも間違えることはある。葉月が悠太に教えたことは間違いじゃないけど、お姉さんの口からはちょっと説明できないからお姉さんには聞かないで(/ω\*)』


 気になる。


 でも、姉ちゃんの言ってた事が嘘となると、子供ってどうしたら出来るんだろ。

 キス……では出来ねえな。じゃあコウノトリが運んでくるってやつ?コウノトリはどうやって腹の中に赤ん坊を入れるんだ。

 今度雪兄にでも聞いてみよ。でも雪兄にわかるかな。

 俺よりは真面目に学校に行ってただろうし、知ってるか。


「それって中学で教わる?」


『習うよ。確か小学校でも習った気がする』


 じゃあ俺が知らないのも無理はねえか。

 

 けど、そうか。子供出来てないのか。

 残念やら安心やら複雑な感情だ。


「そっかぁ。学校やめて働く覚悟は決めてたんだけどな」


『今は私で我慢してね。パパ♡』


 きゅんときちまった。そうだ。俺には麗奈という娘がいたじゃないか!

 


「俺の娘はお前だけだ」


『そんなこと言いながら子供が出来たら溺愛しそうだよね。君って』


「俺は姉ちゃんに甘く厳しく育てて貰ったから同じくらいの加減で育てていくぞ」


『子供に付きっきりでお姉さんなんか眼中に無くなっちゃうんだ。゜(゜´ω`゜)゜。』


「んなわけねえだろ。長女も平等に世話する!」


 麗奈に溜息を吐かれた。何故だ。


『お姉さん。君を夢中にさせられるように頑張るね』


 もとより俺は麗奈に夢中なんだが。

 そう言えばこいつの読んでる小説のタイトルがそんな感じだったな。オマージュか?


「そろそろ帰るか」


 いつの間にか水平線の向こうから太陽が登りかけていた。

 寒さも大分マシになってきた。足も動く。

 姉ちゃん1人を部屋に残してきた。先に起きると、昨日に引き続き怒られちゃう。


『菜月を起こして日の出を見ながら温泉入ろ』


「だな!俺貸切行くからお前は姉ちゃんと普通の風呂いけよ?」


『菜月を起こして一緒に日の出を見ながら温泉入ろ』


 文章の使い回しをするなよ。目から圧を感じるし。こえーよ。

 砂が着いたから1人で風呂を楽しみたいのに。ちくしょう。


「俺は1人で風呂に入りたい」


『君はお姉さんとお風呂に入る。これは譲れない。もしお姉さんを止めると言うなら』


「言うなら?」


『お家に帰ってから毎日お風呂一緒に入る』


 毎日と聞いて、ゲッと顔を歪ませる。

 

「さて、一緒に温泉入るか」


 麗奈がご機嫌にこくこくと頷いた。心無しか歩くスピードが上がった。

 ただでさえ足が長いのに、俺もスピードを早めないと置いてかれそうだ。

 結局いつも通り押し切られるんだよな。意思薄弱すぎる弱すぎる。

 美人なお姉さんと一緒にお風呂。嬉しいよ?けど、お風呂と言えば、命の洗濯とも言われてる。

 お風呂ですらドキドキさせられたら気づかれしちまうよ。

 


 麗奈に対しては意思の弱い俺だが、華奈ちゃんに誓う。これは最後まで突き通す。

 もし、生まれ変わることが出来るなら、次は俺の子供に産まれて来て欲しい。

 少しはマシな世の中になるよう、俺頑張るからさ。


 チラと麗奈に視線を送る。

 多分、お母ちゃんは優しい人だから、沢山愛されて育つだろうよ。

 叔母さんも優しいし、おばあちゃんは癖が強いけど、優しい。

 

 ……お母ちゃんに関して、半分は、俺の願望だけども。

 ずっと隣にいるのが麗奈だったらいいなって。


 


 

 

 

 

 

 

 

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