表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
467/668

67頁


 なんつーか、涼夏と唯と同じ悲鳴だった。

 少し太ったらしい。気付いたのは蓮さん。きっと、あらあら〜とか言いながら姉ちゃんのお腹の肉を摘んだのだろう。


 だけども、俺は思う。姉ちゃんくらい胸の大きい女性は多少肉がついていた方が魅力的に見えると思うんだよ。

 むしろ蓮さんクラスまで行くと、芸術的過ぎて男の方が恐縮してしまうまである。だから姉ちゃんは、丁度良い。


 丁度いいからと言って、姉ちゃんに悪い虫が寄ってくるなら、俺は全身全霊を持ってそれを叩きのめすけども。


 ここも、男の俺が話しに巻き込まれると、厄介なことが起こりそうな気がするので、先に出てきた唯を連れ立って、そうそうに退散させてもらった。


「あなたと麗奈さんは良いわよね」


「何が?」


 砂浜を波がうつ光景に、風情を感じていると、唯が言った。

 足の裏は灼熱のように熱いのに、波は見てるだけで涼しさを感じるよな。照り返しがそれをかき消すくらい余裕であついけれど。


「その、お肉、つかないじゃない」


 地雷から背を向けて逃げてきたのに、地雷を連れて歩いて居たのだからお笑いだ。


 女子の体重問題は、男性が考えている数十倍も思い。多分国会で話している議題よりも。


 ここで結構食うんだけど、太らねえんだよなー!とか言うと地獄を見る。

 女同士でも、そういう事を言うやつは嫌われるってSNSで見た事ある。


 だからといって、あんまり食べないんだ。と言ったとしても、BADを引き起こす事もある。

 だって、涼夏は別として、唯と姉ちゃんは少食だから。


 ここで1つの仮説を立ててみる。今まで食べた分の栄養が胸にいっていたのが、成長限界を迎えて、お腹にいくようになったのではないか。


「ねえ、悠太くんと麗奈さんはなぜ太らないのかしら」


 俺がどこにも発表のできない失礼な仮説を立てていると、唯は痺れを切らしたのか、俺の視界を遮って、怒り顔を向けてきた。


「俺は運動量がみんなとは違うから」


 地獄のような特訓に励んでいるからね。雪兄ったら一切容赦してくれないんだもん。


「どんな運動をしてるのかしら?」


「……腕立て、腹筋、スクワット、背筋をワンセット100回ずつを、3セットやって、走り込み。それもタイヤを引きながらな?それからヘトヘトの体で雪兄と組手。手加減なしだぞ。サボったらボコボコにされるんだ」


 最近やっと、出来るようになってきたけど最初は酷かった。

 腕立て10回を超えるとプルプル震えて次にいけなかった。

 しかも、腕が限界を超えて、バタンキューすると、1から数え直しになる。

 途中からなんど1と2を繰り返すことになったか。


「そのメニューってゴリラ用なのかしら」

 

「間違いねえな。雪兄ムッキムキだし。でもあの人は俺の倍を俺と同じ時間でこなすんだ。追いつける気がしねえよ」


「桜さんって本当に人間なの?」


 唯は引き気味に言った。


「あの筋肉は見た目以上に密度が高いぜ?多分な。はぁ、馬鹿みたいな回数の筋トレをこなしても、俺の腕はぷにぷにのままなんだぜ?泣けるだろ?」


 女子の体重の話しを続けるくらいなら、俺自身の話しをして俺がBADに入ってやるぜ。

 世の中には体重を増やしたくても増やせない悩みのある奴も居るってことだ。


「あなたも苦労しているのね」


 自分も悩みを抱えているのに、労わってくれるなんて、唯は良い奴だ。

「対極的な悩みだけどさ、唯も少し運動してみたらどうだ?雪兄の特訓には呼んでやれねえけど、琥珀さんならダイエット的な運動に詳しいかもしれないぞ?」


「聞いてみたいのだけど、あまり片桐先輩とお話したこと無いのよね」


「あれ、お前人見知りする方だっけ」


「あなたとの出会いは真冬の夜。虐められていた私をあなたが助けてくれたのよ?虐められっ子が人懐こいと思う?」


「でもお前あの時金髪ギャルだったじゃん」



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ