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「次もしヤバいやつと争うことになりそうだったら私を頼れと言われたんだが」


『琥珀はめちゃくちゃ強いからね(゜∀゜)』

やっぱりそうなのか、俺死刑確定じゃん。

「琥珀さんも可愛い女の子なんでダメですって言ったら顔を真っ赤にして出てってしまったんだ」


俺が言うと涼夏と麗奈が同時にため息をついている。

…何故だ…。

『涼夏も大変だね(ㆀ˘・з・˘)』


「そうなんですよ!でも私は良い女なので黙って待つのです!」

『おー!凄いねえ!お姉さん協力してあげちゃう!』

「麗奈さん…」

『涼夏ちゃん…』

2人のやり取りについていけず、混乱している俺をそのままに朝の再現のようにひしっと抱き合っている。

琥珀さんの事はわからないけど、これだけはわかる百合か?百合なんだな!


どうやら俺まで山本ウイルスに毒されてしまったようだ。


忘れてたけど海は平気だったのだろうか。

だが、この百合百合した空間を邪魔するのは気がひけるな、何より俺がまだみていたい。

「そうだ、これ美鈴から悠くんに渡してって!」

涼夏が小さな紙袋を渡してくる。

あぁ……百合空間が終わってしまった。

残念に思いながら紙袋を受け取り

軽く振ってみるとガシャガシャと重みのある金属音を奏でている。

開けてみるか。


紙袋の封を破り中身を取り出すと指が入るサイズの金属の輪っかが四つ繋がっている…所謂メリケンサックとメモ書きが入っていた。


『ヤクザに負けるなんて雑魚ね、そんなんじゃ涼夏を守れないわ!これあげるから使いなさい、私のお古よ、ありがたく受け取りなさい!』


なんで学校にメリケンサックなんか持ってきてるんだよ。

あれか?涼夏に近寄る男子は、このメリケンサックで葬られてきたのか?

だとしたらこのメリケンサックには怨念が詰まってそうだな…ありがたくお返ししておこう。


「す、涼夏、気持ちは嬉しいんだが…これはありがたく返しておいてくれ」

紙袋にメリケンサックを戻し、涼夏に強引に押し付ける。

「う、うん、これは返しておくね」

涼夏も引き気味だ。

『メリケンサックなんて初めてみたよε-(´∀`; )』


喧嘩ばかりしていたから、見慣れてはいたけど使った事はない。

葉月姉ちゃんは素手の戦い方しか教えてくれなかったから喧嘩をするとき基本俺は素手だった。

剣道も教わっていたが喧嘩で使ってはいけないとキツく言われていた。

「あと唯からもお見舞いの品を預かって来たんだけど…見る?」

涼夏が大きめの紙袋を胸の前で不安そうに持つ。

メリケンサックを見たら確かに次の品をみるか戸惑うよな。

「一応開けておくか、唯は常識人だから変なものは入ってないだろ」


「そ、そうだね、じゃあ、はい!」


『お菓子かな?(((o(*゜▽゜*)o)))♡』

そう言って涼夏から紙袋を受け取り中身を確認する。

グレーのジャケットと同じくメモ書きが入っているのだが、軽くてふにゃっとした感触をしている。

『美鈴が武器を渡すって言ってたから私は防具をあげることにしたわ、防弾防刃ベストよ。使っていただけるかしら?』


……俺が通ってるのはアメリカの学校だっけ?

これは軽いし、使う機会が無いことを願うけど、ありがたく貰っておくか。

涼夏に紙袋を渡す。

「防弾防刃ベストだってさ、これは俺の部屋に置いといてくれ」


「わ、わかったよー!」

『お菓子じゃなかった(ㆀ˘・з・˘)』

無表情だけど可愛い。


「麗奈さんお腹すいたんですか?」

と涼夏が聞くと同時に、麗奈の方から、ぐ〜っとお腹が鳴る音が聞こえてきた。

時間もそろそろ18時だ、面会時間もあと少しで終わってしまう。

『\(//∇//)\』


「じゃあ、そろそろ帰りましょー!今日は私が料理を振る舞いますよ!」

涼夏が麗奈の手を取って病室から帰ろうと歩き出すが、麗奈がベッドの手すりを掴んで離そうとしない。

一旦手を離すとスマホに文字を打ち込み、涼夏と俺の交互に画面を見せてきた。

『今日はここに泊まる!(๑╹ω╹๑ )』


「でもお腹空いたんですよね?それに面会時間ももう終わりますし…」

もう一度涼夏がグイッと手を引っ張るが、麗奈も慌てて手摺りを掴む。


『心配だから!私泊まって面倒みる!ご飯はこの子のを分けてもらう!さっき受け付けの看護師さんにも言ってきた!』

涼夏ー、連れて帰ってくれー

「確かに頭を強く打ったんだもんね…私も泊まりたいけどお母さん達にご飯作らないと行けないし…じゃあ麗奈さんお願いしますね!悠くんまた明日来るね!」


「まってくr」

ガチャ、バタン!

俺の返答も聞かず、涼夏は扉を閉めて帰ってしまった。

隣では無表情の麗奈がスマホをいじっている。


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