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 うわぁ……気持ち悪りぃ……。



 別に、経験がない事が悪いとは思わない。俺だってない。

 そ、そういうのは、大事な人とじゃないとしちゃダメだって姉ちゃんにも教わったし。

 ただ、それを生徒の前で暴露してるこいつの神経がわからない。

 そこまで切羽詰まってるのか。はたまたそう言う癖なのか。哀れだ……実に哀れ。


「先生……もう何も言うな……俺達が先生を変身させてやるから」



 

 俺たちが救ってやる。

 俺には服のセンスも、モテるような心意気もわかんねーけど、俺の隣には麗奈が居る!


 この際、中身の方も矯正してやろう。麗奈が!

 モテる男になれるようビシバシいこう。麗奈が!


 

 つまるところ、麗奈頼みである。俺としてはこのつまらない補講を終わらせて外に出られれば何の文句もない。


『そうだね、お姉さんも協力する(o´艸`)』


 乗り気になってくれて助かるぞ。こいつがいないと成り立たねえからな。

 

 感極まった表情を浮かべ、先生がわなわな震え始めた。

 腕を広げ、俺達を抱きしめようと一歩踏み出す。

 

「お前たち……ありが」「近付くな」『 ドントタッチミー(;・∀・)』


 だから俺達は、一歩後ずさった。これも先生を犯罪者にしない為だ。


「酷くね!?俺先生だよ!?」

 

「……はぁ、先生。ついてこいよ」


「え!?なに?」


 先生に背を向けて歩き出す。


 困惑する先生を連れ立って教室を飛び出した俺達は、学校への記念贈呈品である、デカい鏡の前へとやってきた。

 

 鏡の前に先生を立たせ、先生の現状を、先生自身に確認させる。

「良いか先生。鏡には何が映ってる?」


「何って……俺だけど」


「いや、その鏡に映ってるのは犯罪者スレスレの成人男性だ。よく見ろ。ボサボサの髪、無精髭、二日酔いでやつれた青い顔。ヨレヨレのワイシャツにスーツオマケに猫背。どうだ?ニュースで見るような犯罪者そのものじゃないか?」


「……た、確かに」


「そんな犯罪者スレスレの見た目をした先生に抱きしめられてるところを他の人が見たら、他の人はどう思う?」


「通報するな……そうか、俺は、そこまでだらけきっていたのか……よし。春日!秋山!俺を……生徒を抱きしめても通報されないような見た目にコーディネートしてくれ!!!」


 それだと最終目的が生徒を抱きしめることになってるんだけど。

 つーか、今日び、男性教師が生徒を抱きしめている場面なんぞ見られたら、それだけで通報案件だ。


 まあ、教師に対する熱い思いを思い出したんだろ。


「俺達に任せろ!大船に乗ったつもりで行こうぜ!」

『 変身してもお姉さんには触れないでね、男性は苦手だから(;・∀・)』

「できれば俺にも、男性は苦手だから」


「そうか……そうだった、配慮が足りなかったな」


 申し訳無さそうにする先生。

 俺の男性恐怖症はとっくに直ってるのは内緒だ。





 ――――――――――――――――



 学校を出て、ようやく街へと繰り出した俺達は、まず美容室へとやってきた。

 俺は伸ばしっぱなし、麗奈も、金が無かったから自分で整える程度、そして先生。それぞれに行きつけの美容室等ある訳が無い。

 だから、スマホで検索して、近所で1番評価の高い美容室まで来た。


「俺達は外で待ってるから先生行ってきていいぞ」


「そんな事言って俺を置いて帰るつもりじゃないのか

?」


「どんだけ疑うんだよ。今更そんな事するわけねえだろ」


その手があったか。思わず上がりそうになった口角を手で押さえ隠して答えた。


「髪型だって似合ってるか分からないじゃないか。だからお前たちにも着いてきて欲しい」


 めんどくせぇ…………背高い癖に子供見たいなこと言うなよ。

 

「似合ってるも似合ってないも顔は整ってるんだから、美容師さんが良い感じにしてくれるだろ」


 相手はプロだ。俺達みたいな素人がああだこうだ言うよりと言うことを聞いておけば、多分間違いない。多分。



 

 

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