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うん。可愛い。
『悠太は生粋のシスコン。つまり年上のお姉さんが好き……だからロリに興味があるはずが無い。だからお姉さんは、千秋の戯言なんて気にしてないよ(o´艸`)』
シスコンなのは認めよう。だけどその先は知らん。年上だろうが、ロリだろうが好きになった人がたまたまそう言った属性に分類されただけだ。
「麗奈さんだって胸だけで見たらロリですよ」
千秋の言葉に、麗奈の醸し出す空気が変わった。
危ない。吹き出すところだった。
俺の肩に預けていた頭を起こして、千秋に向き直った。
「お、おい。千秋は小学生だからな?本気になるなよ?」
「悠太どいてください。麗奈さんよりも私の方が胸大きいですし。悠太が年上で胸の大きい人が好きだとしたら、身長が悠太より高くて胸の大きい私の方がいいですよね」
確かに菜月姉ちゃんの胸は大きい。身長も千秋より少し高いくらいだ。だからといって俺の好みには関係ないぞ。
『千秋は知らないと思うから教えてあげる。葉月は貧乳だよ。あと身長も高い(o´艸`)だから貧乳で高身長なお姉さんのことが悠太は大好きだよ(/ω\)』
確かに姉ちゃんは貧乳だったけど、あれ?今ひとりでにカーテンが揺れたような。
まあ、でも外見で選んでねえよ。麗奈だからこそ俺は好きになった。口に出しては言えないのがもどかしい……。
「つうか、なんで俺の取り合いみたいになってんの?雪兄ならまだしも。俺だぞ?」
『雪人は論外』「あんなデリカシーの無い人間は無しですね」
なんか俺、雪兄のことが可愛そうになってきた……。麗奈の言葉にちょっと安心したけど。
「デリカシーのなさは天下一品だけど頼り甲斐のある良い奴だぞ。雪兄は」
『無い』
麗奈は雪兄を一言でばっさりと切り捨てた。
雪兄は女性の敵……涼夏や沙織さんに失礼な発言噛ましてたもんな。
「頼りがい……はありますけど、昨日お風呂上がりに鉢合わせしたんですよ。雪人と、その時私ね、まだ服着てなかったんですけど、私の裸を見といて、少しは肉がついてきたな、って満足そうに頷いて去っていったんですよ?」
雪兄……警察に行こうか。雪兄の間違いは弟分である俺が正してやらねば……。
「雪兄の顔に湿布が貼ってあったのってもしかして」「そうだですよ。ムカついたので麺棒で殴打してやりましたよ」
千秋は立ち上がり、こう、こうですよと、言いながら、ぴょんと飛び跳ね、テニスラケットを振り抜くように腕を横に振った。
全力で振り抜かれた麺棒をくらって顔が腫れた程度で済んじゃう雪兄の防御力すげえな。骨折しててもおかしくないだろ。
『それ、雪人以外にやっちゃダメだよ?人間は雪人みたいに頑丈じゃないからね?(;´・ω・)』
もはや人ですらないと!?
「やらないですよ。私は雪人なら大丈夫って信頼してるもん。それに、悠太だったら……そうだね。お風呂入れてあげちゃうかも知れません。弟ですし」
「ふざけんな。俺高校生。お前小学生。わかる?」
「でも私より身長低いですよ?顔も幼い」
「だとしても、お前より4年は早く生まれてんの。弟じゃない」
「お風呂は?」
「1人で入れるに決まってんだろーが」
千秋はつまらなそうに口を尖らせて、肩を落とした。
この見た目だから、もう、ガキっぽく見えるのは仕方ねえ。甘んじて受け入れよう……。
でもこいつは俺のことを侮り過ぎじゃね?何も出来ない赤ん坊にでも見えてるのか?
『悠太はお姉さんとお風呂に入るから千秋とは入らないよ』
「悠太ー。麗奈さんがいじわるしますー」
「いじわるって言うか俺はどっちとも風呂は入らねえよ。 」
「ぷーくすくす。麗奈さんもダメですってー」
『生意気過ぎてお姉さんちょっとムカついてきたかも( ๑º言º)』
「ごめんなさい。お姉ちゃんが居たらこんな感じなのかなーって、ちょっとはしゃぎ過ぎちゃいましたね。私一人っ子だったので」
そうか、なんでもないようにしてるけど、こいつも家族に捨てられたんだもんな。
「そんな……悲しそうな顔すんなよ!」




