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『でもこれで、心置き無く捜査に参加できるね』
「そうだな。姉ちゃんのお墨付きだ、絶対見つけるぞ」
『でもどうする?闇雲に探しても見つからない気がするけど( ̄▽ ̄;)』
「俺に考えがある……とは言ってもいつもの人任せだけど」
スマホを取り出して操作しながら言った。
相手は恐らく集団。集団ならチンピラの可能性が高い。
なら頼るのは、
『沙織だね(*´ω`*)』
そう。ヤクザの一人娘である沙織さんなら何か知ってるかもしれない。
少なくともこの人なら何かしら解決の糸口を見つけてくれるだろう。
「借りを作りっぱなしだけど、まあ、この人が大人を頼りなさいって言ってたから。いいだろ」
『沙織なら借りなんて言わずに狩りに付き合ってくれるよ(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑』
本気なのかただのダジャレなのかわかんねーよ。
「狩りって、あくまで今回は犯人のしっぽ掴んで、警察に通報するだけだぞ?犯人を捕まえるのはあくまで非常時だけだ」
『悠太がそう言ったらほぼ確定で毎回非常事態になってる気がするけど┐(´д`)┌』
「俺が問題児みたいに言うな。どれも不可抗力だろ?」
『お姉さんとの約束守らない子は問題児だよ(o´艸`)』
まださっきのこと根に持ってやがる。前科があるからなんも反論できないけど。
参ったな、しばらくはこれをネタに言う事聞かされそうだ。
「俺が問題児なのは、今に始まったことじゃないか。まあいいや、沙織さんに電話かけるぞ?」
麗奈が軽く頷いたので、画面をタップして通話を繋ぐ。
出ない。と思ったけどよく考えたら今は19時前。世間一般的にご飯時だ。
はやる気持ちを抑えきれなかった……ということにして、かけ直しが来るまで待つとしよう。
『〜♪』
なんだ、直ぐに掛かってきた。
「もしもし。悠太です」
『ごめんなさいね〜。父と一緒だったもので〜』
「親父さんと一緒なんて珍しいっすね」
『めんどくさいんですよ〜。組として、ああだこうだ小言ばかり。ふふっあまりにうるさいから黙らせちゃいました〜』
沙織さんが黒光りするブツをこめかみに突きつけて、にっこり笑う姿が容易に想像ついたぞ……。まだ見ぬ組長さん、心中お察しします。
『嫌ですね〜。ちょっと小煩いけど実の父親ですよ。拳銃突きつけて脅すなんて大それたことしません〜、少し正座させて膝に石を抱いてもらっただけですよ?』
折檻に現実味が帯びているだけあって怖いんだよ。妙にリアル、この人のことを知ってる人なら口を合わせて「やってそう」と言うだろう。
『やってそうですか〜。悠太くんも今から家に来ますかー?』
「足が治ったばかりなのでやめときます。すみませんでした」
『ふふっ素直に謝れてよろしいです。それでなんの御用ですか〜?』
「協力。して欲しいんすけど」
『ほほう!なんでしょう!デートのお誘いなら飛んでいきますよ〜』
「大変申し上げにくいんだけど……事件です」
「ふむふむ。込み入った話になりそうですね〜。今からお伺いさせて頂いてもよろしいですかー?」
今姉ちゃんの居る所で話し合うのはちょっと気が引ける、怒ったし怒られたし。
「ちょっと家じゃあれなんで……外でも良いっすか?」
『あら〜デートに誘ってくれるんですね〜!!感激です!すぐ行きますね!!』
「ちがっ」
途中で電話を切られた。デートなんて言ってなければ麗奈もいるんだよな。
勝手に勘違いしただけだし、放っておこう。
『途中で切ったけど沙織は私達の居場所知らないよね( ̄▽ ̄;)』
「しかも俺とデートって勘違いしてるぜ?厄介なことこの上ない」
『お姉さんを置いていくの!?( ;ᯅ; )』
「そんなわけねーだろ……俺が一言でもデートしませんかって言ったか?」
俺がそう言うと麗奈は力強く首を横に振った。




