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終わる頃には生徒も先生もミイラのように干上がっていること間違いなし。生き残ったやつは洗練された涼夏のストーカー。そんな奴は俺が容赦しない。つまりはこいつの独壇場だ。


「失礼ね。精々1時間よ」

「それでも長ぇだろ。教頭だって30分で終わったんだぞ。お前の一言二言はどんだけ詰まってんだよ」

「涼夏への愛?」

美鈴はドヤ顔で言った。ちくしょう、こいつが男だったら間違いなく殴ってるんだけど、如何せんこいつは生物学的に言うと人間の女性だ。

だが、口調こそ女性だが、言動と行動は、涼夏をつけ回すストーカー。更に言うと男友達っぽい。


なんだ、男として扱っても問題ないな。

「殴っていいか?」

俺は真顔で拳を振り上げた。

「やーねー。野蛮よ野蛮。私、か弱い女の子だから殴らないで」

「……か弱い?」

「何が言いたいの?」


俺の事を軽々と持ち上げるようなパワータイプのストーカーがか弱いって言うなら麗奈や静香や唯はなんて表現したらいいんだ。

「あのな。か弱いって言葉は麗奈や静香や唯見たいに非力で弱々しい女性に使う言葉であってだな。いだだだだ!!!」

「ごめんなさいは?」

「ごべんなざい」

「よろしい」

痛てぇ……ほっぺをつねられた。周りの生徒も突然叫び声を上げた俺に注目してるし、最悪だ。


「何でもないから注目しないでくれ。悪かった」


集まった視線に対して謝罪をした。

俺は間違ったこと言ってないのに、やれやれ、正論は時に人を傷つけるって言うからな。

でも、正論が突き刺さるようなやつが悪いんだ、俺は悪くない。


「……ねえ」

「なんだよ」

「思いのほか悠太のほっぺが柔らかかったから癖になりそう。もう1回触っていい?」

「良いわけねえだろ。お前には二度と触らせない」


「そんなプリプリしなくてもいいじゃない。可愛いだけよ」


こいつ……俺の怒らせ方を熟知してやがる。なんだ、プリプリって、なんだ可愛いって、俺は男だっつーの。

男らしい俺にそんな言葉のチョイスが合うわけが無い。


「男らしいだろ。俺」

「その誘い受けもう何回目?流石に飽きたわ」

「誘い受けってなんだよ!」

再び、俺に視線が集まる……。


「へぇ、春日くんて誘い受けなんだ……ヘタレ受けじゃないのね」

「でも考えてみて、柔肌を晒して春日くんが誘ってたら……」

やめろ!やめてくれ!俺で変な妄想を膨らませるんじゃねえ!俺はそんなんじゃねえ!どちらかって言ったら攻め……じゃない。落ち着け、落ち着くんだ。


「妄想は無限大ね」


「……うるせぇやぃ」


もう、人の集まってるところでこいつとは話さねえ。絶対に。

「ねぇ」

しばらく経って、また美鈴が話しかけてきた。

まだ何か話す事があるのかよ、理事長まだ?早く来てくれねえと俺ストレス過多で死んじゃうよ!

反応しなければどうということは無いだろう。前を向いて無視を決め込む。


「結局悠太は誘い受けなの?ヘタレ受けなの?」

「知るかボケぇ!!」

クラスどころか、聞こえている範囲に居た生徒達はもれなく俺に注目している……やらかした。


「美鈴……も、もう黙っててくれ。俺もう見られたくない。恥ずかしい」

「ふふふ。可愛い、それくらい塩らしかったら涼夏並に可愛いわね」

頼むからあいつと同率に置かないでくれ。俺はお前にストーカーされたくない。

今度こそ理事長が来るまで無視を決め込んだ。


更に五分ほど待たされてようやく理事長のおでましだ。

これだけ待たされた生徒達は涼しい顔をしてやってきた理事長に気付くことはなく、それぞれ話に花を咲かせている。

理事長が話し始めて5分後には話の内容が衝撃すぎて黙り込むどころか不安を覚えるやつも居そうだな。

よくよく考えてみたら明日から夏休み。誘拐犯の目的が何かは知らねえけど、まだ、複数の生徒を狙って誘拐してるなら夏休みは狙い目と見て、ニュースが発表されても警戒して逃げる確率はまだ低いか?


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