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「何処から、聞いてたんです?」

キッチンで冷蔵庫を漁っている蓮さんに質問を投げかける。

「んー、最後だけよ〜、あっビール切れてる、しょうがない、サイダーで我慢しましょ、悠太くんも飲む〜?」

「うっす」

カチャンと2人分のコップを用意して、ペットボトルから、サイダーを注いでいく。

片方を俺に寄せ、もう片方を掴むと、一気に飲み干した。

「っぷはー!生き返るー!やっぱ疲れた時はお風呂と炭酸よね〜悠太くんも後数年するとわかるようになるわよ〜」

「大人になるってやつだよな…」


「簡単に言うとそうね、働いて、下げたくも無い頭を下げて、疲れるったらありゃしないわ〜」

はぁーっとため息をつく蓮さん、いつも優しくて朗らかな性格をしてるけど、ストレス溜まってるんだな。

「蓮さんも大変なんだな、肩でもお揉みしようか?」

母さんのように慕っている人物だ、やましい気持ちはない。

「せっかくだからお願いしようかな」

蓮さんがソファに座ったので背後に回る。

長い髪を分けて、見える背中は小さい、この人に助けて貰ってるんだよな。

夢とかは無いけど、いつか楽をさせてあげないと…。

「じゃあ始めるよ」

肩に手を当て痛くならない程度に力を込める、酷く凝っているな。

「あぁー効くー!力強くなったわねー、昔はこんなにちっちゃかったのに」

「蓮さんは昔から変わらないな」

「あら、幼馴染のお母さん口説いてる?なーんて、ふふ」

冗談ぽく言う蓮さんだがそんなことしたら涼夏にフルボッコにされる未来しか見えない。

そもそも普段は温和な性格の蓮さんだが昔は元レディースの総長で俺以上に暴れ回って居たらしいので、変な事をしようものなら蓮さん直々に殺されそうだ…昔涼夏とイタズラをしてはゲンコツをもらった後で庭の木に吊るされてたな。

「そんなこと、恐れ多くてできないよ」


「昔のこと思い出しちゃった〜?」


「昔は良く怒られたな」

今となってはいい思い出(とらうま)だ。

「そうね〜涼夏もそうだけど、2人してイタズラばかりしてるからつい、ねっ」


「好奇心旺盛なクソガキで、すみませんした」

2人の姉ちゃん、蓮さん、の教えがあったからこそ、道を踏み外しても、喧嘩以外で犯罪行為等に手を染めなかったと言っても過言では無いと思う。

「今でも覚えてるわよ〜、涼夏と2人で、最初は画用紙にお絵描きしてたのに、少し目を離したらフローリング一面キャンパスにしてたの」

「そんな事もあったね…」

確か、お城の絵を描こうって涼夏が言い出して、そのうちに画用紙に収まるスケールのお城じゃ悠くんと住めないって言い出して、いつの間にか床一面を使って大きなお城の絵を描いてたんだよな、涼夏が。

「高いお絵描き代になったわ〜着色もしてあったからフローリング一面張り替えて10万ちょっと…でもあの時悠太くんが涼夏を庇ったのよね、自分は本を読んでただけなのに」

そうだ、一緒に遊んでたのに1人だけ怒られてる涼夏を見て可哀想だと思ったんだよな。

「涼夏の手にしかクレヨンついてないのに、悠太くんったら、これは全部俺の作品だ、俺は芸術家だー!なんて言うから、おばさん笑っちゃったわよ!」

とケラケラと笑う蓮さん。

「恥ずかしいっす」


「それがまあこんなに大きくなって、今は肩を揉んでくれてるなんてね〜」

「蓮さんは第二の母なんで、リスペクトしてる」

「嬉しい事言ってくれるわね〜、母と言えば、あかりさんはどうしているのかしらねえ〜」

灯とは、うちの母親だ。

親父とは逆に、俺たち姉弟に分け隔てなく、愛情を注いでくれた。

葉月姉ちゃんが亡くなった時からあまり話しをして居なかったが会うと姉ちゃん同様俺を心配してくれていた。


俺と姉ちゃんで家を出る時には、無理矢理追い出そうとする親父を泣いて止めていた。

母さんにも、謝らないとな。

「親父が許さないと思います」


「そうね、大和やまとくんも、灯さんのこと大好きだもんね〜でも彼女も…強いわよ?あの灯さんが溺愛してる子供追い出されて、そのままでいるとは思わないわね」

そう、類は友を呼ぶとはこの事で、蓮さんがレディースの元総長なら、母さんは一匹狼で活動して居たヤンキーで2人は現役時代は犬猿の中だったらしい。

堅物の親父と元ヤンの母さんがなぜ結婚に至ったのだろうか、理解に苦しむ。


「きっとそのうち、来るわね、これは予言よっ、もしかしたら返り血を付けてくるかも?」

きっと、ニッコニコなんだろうな、光景が目に浮かぶ…。

「ふぅー、そろそろいいわよ〜ありがとう!肩が軽くなったわ〜」

終了の合図が出たので、肩から手を離す。

「喜んで貰えたならよかった、必要な時は言ってくれればこれくらいいつでもやるよ」

「ありがとう、いい息子を持ったわね…2人が戻ってくる前に悠太くんも自宅のお風呂入っておいで〜、多分ちょうどいい頃よ〜」


「そうだな、行ってくるわ」

と返しつつ、4人で寝ることを避けるには自宅に戻るのはチャンスだな、そのまま寝室に鍵をかけて寝て仕舞えば…!

「4人で寝るんだから、戻ってこないとお仕置きよ〜」


まあ、そうなりますよね…


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