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49頁


校舎までやってくる頃には涼夏の機嫌も治っており、上履きは麗奈の靴箱にしまわせて貰っているが念の為自分で開けに行く事にした。


表面上の涼夏が穏やかなだけで内心腸が煮えくり返っていたら、迷わず俺の靴箱を開け、中にイタズラなんてされていた日には、昨日の再現が行われるだろう。


「悠くん、本当に自分で開けるの?」


涼夏が心配そうに首を傾げ聞いてくる。昨日までの俺なら陰鬱とした気分で保健室に直行させられていただろう。

ただ、俺はもう決めたんだ。だからきっと、ちょっとやそっとの事では多分もう何も思わない。

『お姉さんが代わりに開けようか?(;´・ω・)』


「大丈夫。自分で開けるよ」


麗奈の申し出も断って躊躇せず靴箱の扉に手を伸ばして開けた。

まあ、予想通りだな、恐らく恨みつらみが書かれているであろう丸められたゴミが崩れ落ちてきた。


その中の1つを拾い上げて紙を伸ばす。


学校に来んなよシスコン野郎きめえんだよ。


お前の気持ちはよーく分かった、よし。


「……ひどい。なんで悠くんに……あいつら……!」


「涼夏、昨日教室で俺につっかかって来たやつ。名前なんて言うの?」


俺の靴箱の惨状に鋭い目付きで代わり拳を握りしめた幼なじみに向かって俺は満面の笑みを作った。

俺ももうタダではやられてやんないぞ。昨日を持ってヘナチョコだった悠太くんはもう居ない。


「えっと……橋本くんだね」


首を動かして周りに見ている生徒が居ないことをする。幸い1人も居ない、いや遠くに中田の姿が見えるけどあれはノーカンだ。


実際の所犯人は別に居るのかも知れないけど関係ない。昨日俺に喧嘩を売ったこいつが悪い。


「ちょっと危ないから離れて置いてくれ」


麗奈と涼夏を下駄箱から離して反対側のクラスの靴箱まで下がると、勢いをつけて橋本の下駄箱に加速度クラッシュ(ただの蹴り)をお見舞した。


俺思ってたほどそんなに弱くねえな。

ベッコリと扉のへこんだ靴箱を見て1人満足気に頷く。久しぶりに憂さ晴らしが出来てスッキリ爽快だ。


やっぱりこういうのは一撃で決めないと。何度も蹴ったんじゃ事故って言い訳が通用しなくなる。


「ゆ、悠くん……それは流石にやりすぎじゃ……」

昨日のお前を再現しただけなのに引き気味になられるのはどうにも解せない。

なんなら昨日のお前の方が顔も雰囲気も怖かったと言ってやりたい。


「涼夏。後ろを見てみろ、あれはお前がやったんだぞ?」


「……てへぺろ。さて!悠くん。スッキリした?教室行こっか!」


話題替えが露骨なんだよな。

涼夏が麗奈のクラスの靴箱がある方に俺と麗奈の背中を押して進む。と、その前に。

「涼夏少し待ってくれ、これを教室に持っていく」


鞄の中からビニール袋を取り出して靴箱に詰められたゴミを一掴みにして袋に詰める。

「手伝おうか?」

「いや、変な物が混ざってたらいけねえからいいよ。落ちてる紙だけ拾ってくれ」


靴箱にゴミを詰めるような陰湿なやつだ。万が一カッターの刃とか、剃刀とか混ざってたら涼夏と麗奈が怪我をしてしまう。



「これで全部だな。教室に行こうぜ」

袋に全て詰め終わった。ビニール袋2個分になったゴミの中には結局凶器は無かった。

けれども、こう言うイジメは放っておくと、調子に乗ってもっと熾烈な物に変わると姉ちゃんから聞いたことがある。


病気もイジメも初期段階での的確な措置が大事と言うことだろう。


「麗奈さん……あんなに生き生きしてる悠くんの顔初めて見た気がする」

『そうだね。色々吹っ切れたんじゃないかな(o´艸`)もう心配しなくても良さそうだね(๑ゝω╹๑)』


ああそうだ、もう心配はいらない。春日悠太の復活だ。


「確かに!えへへ。やっぱ自信に満ち溢れた悠くんはかっこいいなぁ」

『お姉さんもそう思います(o´艸`)』


ハッハッハ!もっと言ってくれ!


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