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これは長くなりそうだと思い口を挟む。

ぶっちゃけ女性同士の言い合いに口を挟みたくは無いが、ここで流れを立ち切っておかないと終わらない血で血を洗う戦争の幕開けが始まる気がする。

それに何故か俺を巻き込む形で繰り広げられるそれに、心を抉られる俺の姿が容易に想像できる。


「元はと言えば悠くんが悪いんだよ!この女ったらし!」

「そうね、私だけだと思っていたら……ねえ」

向かい合って言い合いをしていた2人の目線がこちらを向く。

涼夏は目を見開いて、唯は冷たい目でそれぞれ怒りの感情を表している。


言われると心に刺さるものがある。

だが、あくまで俺が女性と仲が良いのは姉ちゃんに似たこの顔のおかげで女扱いされてるからだ。

決して俺の格好良さで惹かれている訳では無い……と自分に言い訳をしてみる。


「お、俺のことはいいから。続きをやるなら解散してからにしろよ」

『うんうん、お姉さんも涼夏に伝えたいことがあるから落ち着こ\\\\٩( 'ω' )و ////』


「ぐぬぬ。唯……また後でね……!!!」

「ふふふ、受けて立つわよ。両親は待たせておけば良いわ」


唯の両親と話すイベントは俺と麗奈で切り抜けるから、どうぞどうぞそっちは勝手に喧嘩を続けててくれ。


「よし!じゃあ麗奈さん!聞かせていただきましょう!!」


額に青筋を浮かべて作り笑顔をあからさまに、麗奈に向き直った。


涼夏の態度を気にせずにコクンと頷いて麗奈はスマホに文字を打ち込んでいく。いつもより少し長めに。

文章の書き上がったスマホを俺に渡してきた。


「涼夏、16歳の誕生日おめでとう。出会って3ヶ月だね。初めて会った時、家族のいない私を悠太と暖かく迎えいれてくれてありがとう。私は涼夏を本物の家族で妹のように思っているよ。でも……妹の事を思い出して、時々。よそよそしく……なってごめんなさい。こんな私だけど、これからも仲良くしてくれると嬉しい」


始めは青筋を浮かべていた涼夏も、話が進むたび、怒りが消えていったようで、ピリピリしていたその場の空気がほんわかとしたものに包まれ、さっきの俺とは対照的に感無量と言いたげに、口をパクパクしている。

今日も嬉しかったり怒ったり表情がコロコロと変わって忙しいやつだ。


「この場をお借りして、みんなも、身寄りが無くて、一人で居た私に居場所をくれて、ありがとう」


俺が言い終わると麗奈が涼夏に向かって頭を下げた、それから周りにも深く頭を下げた。


「麗奈……」

少しでも生きたいと思うようになってくれたのだろうか。

そう思うと俺の心も少し暖かくなった気がする。


「私も、麗奈さんのこと……本当のお姉ちゃんのように思ってます!嬉しいよ!麗奈さんからそう思って貰えて本当に嬉しい!!」


涼夏が床にプレゼントを置いてから麗奈に抱きつき、飛び跳ねて喜んでいる。


うん。本日のベスト百合はこれだ、美鈴と涼夏の組み合わせ?この感動に勝るものはない。


「麗奈さん麗奈さん麗奈さぁあん!」


涼夏が麗奈の胸に顔を埋め頬を擦り寄せると柔らかそうに胸の形が変わる。麗奈も愛おしそうに涼夏の頭を撫でた、眼福眼福。


「これからもよろしくね!麗奈お姉ちゃん!」


パッと顔を離すと麗奈を見上げて言った。

これからもこの関係値は続いていくんだろう。もし今後何かに脅かされるような事があれば、その時は俺が体を張ってこの居心地の良い環境を守っていこう。


まずは神田さんの件を片付ける事が最優先だ。

親父からの連絡はまだ無いから動く事はできねえけど。





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