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高身長の女性が着たらとても映える服だろうけど、低身長の俺が着たところできっとダボダボ。

なにこれBボーイ?これ着て金色のネックレスジャラジャラさせてラッパーになればいいのか?


「俺はMCyu!このマイクでライムを刻むラッパー、とでも歌えばいいんすか?」

ジト目で店員さんを見つめる。


「確かにこのサイズじゃ、ラッパーになっちゃうわね。でもサイズ合わせれば似合うと思うんだけどなぁ、悠太くん足長いし」

『着てみたら?あれならお外で着ても大丈夫だよ(*゜▽゜*)』


何だお前、この服装を外で着ちゃいけないってわかってて唯とのデートにこれを着て行かせたのか?


「おい、女装を日常にさせようとするんじゃない。何回も言ってるけど俺は男だ」

そうだ、俺は絶対女装した自分の可愛さには屈しない。

帰ったら即筋トレを始めて男らしい体つきに戻してやる。


「似合うのに。残念ね、ならここで今その服脱いで男だと主張したら?そうしたら女装を本気で嫌がってるって認めてあげるわ」

「あら、お友達さん、いい事言いますねー、そうですよ悠太くん、本気で嫌ならここで脱いで、あちらの男性用の洋服店で服を買ってきたらいいですよ」


こいつら鬼か、中世の魔女狩り裁判並みに無茶を言ってやがる。ここで脱がなければ女装大好きやろうのレッテルを貼られ、ここで脱げば全裸の変態男のレッテルが貼られる。

いや、でも麗奈なら俺を助けてくれるか?


『悠太の可愛い姿が見れなくなるなんて嫌だよおお。゜(゜´ω`゜)゜。』

そうだよな、当然お前も向こう側だよな、もしかしたらお前だけは俺の味方でいてくれると期待した俺が間違いだった。


前門の虎(店員)が獲物(俺)に狙いを定め、手をワキワキといやらしく動かしながら、ジリジリと進んでくる。

これを何とかしたとしても、後ろには狼(美鈴)が控えている。

両方迎撃したとしても、最後に控えているチワワ(麗奈)には勝てない。


「わかりました…………それ着ます……」

俺は知っている。人生時には諦めが必要だと。





「可愛いーーーー!!!これは私からプレゼントさせていただきます!!!!」

「ぶふっ、麗奈さんに着替えさせてもらえてよかったわねっっ可愛いわね!」

ぐすん、もうお嫁に行けない。

ボタンを止めるだけだから1人で平気だって言ったのに、あいつ無理矢理入ってきやがった。


「それじゃ由奈ちゃん店員さんに新しい服も買ってもらった事だし、涼夏の服探しましょうか」

「……そうだな」


出来ればもうお家に帰ってフカフカのベットで泥のように眠りたい。

だが、ここでプレゼント選びをやめてしまったら、涼夏の……あいつの笑顔を曇らせてしまうことになる。

それだけは胸が痛む。帰りたい気持ちを押し殺してでも俺はプレゼントを探すぞ、俺は。

『お姉さんも探してくるね(*'▽'*)』


「おう、美鈴、一緒に探してあげてくれないか?俺はこっちを探す」

「わかったわよ。麗奈さん行きましょ」

美鈴と麗奈が、エプロン売り場へと歩いて行ったのを見送って俺も1人、夏服売り場へと足を伸ばす。

「それで、どんな服にするんです?」

「んーまずは1人にして欲しいっす」

まさかついてくるとは思わなかった……わけでもない。

「お客様に最高のおもてなしをするのが、私の仕事なので、それは出来ない相談ですね」


俺を放って置いてくれるのが最高のおもてなしだと何故気づいてくれない。

まあ良いか。無視すればそのうち飽きてくれるだろ。


あいつに似合う服ねえ、涼夏の好みなんて気にしたこと無かったな。

好きな物で考えていくか。

食い物、食べる事、食す事。俺。

いかんな、食べ物以外に思いつかない。俺……あいつのことなんも知らないのかも。


「涼夏さんならこう言った服似合いそうですよね」

店員さんが見せてきたのは半袖でフードのついた白いパーカー。

動きやすそうであいつにはピッタリだな。


「それ良いかもしれないっすね、でももうひとつなんか足りない気がする」

腕を組んで首を傾げる。シンプルなこのパーカーは間違いなくあいつに似合う。でもなんだ、可愛らしさが足りない。

「何かとは?」

「なんて言うんすかね。もう少し可愛らしさ?を付け足してやりたいかも」


「なるほど、それではこちらはどうですか?パーカーフリル、あまりフリフリしていないので動きやすさも残しつつ可愛らしさもあると思いますが」


これだ。これを涼夏に着せたら絶対可愛い。

ん?これフード部分に猫耳がついてる。


『悠くん、ありがとうにゃんっ』

妄想の中の涼夏が猫ポーズで顔を赤らめ、お礼を言ってきた。何これ可愛いんだけど。

よし!これだ!これにしよう!これしかない!


「これの薄いピンクありますか!?」


「き、急にテンション高いですね、ありますよ。白と淡いピンクの、グラデーション色になりますけど」


「それください!」

即決で決めてしまった。俺の勘を信じろ。あいつなら絶対喜ぶ、もちろん俺の欲望に任せたわけではない……ないはず。


「上はこれで良いですね。下はどうします?」


そうか、上下セットで選んでやればあいつももっと喜ぶかもしれない。

あいつ普段からパンツスタイルばかりだし、たまにはスカートとか履いてる姿も見てみたいかもしれない。

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