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「「すみませんでした!」」


「いいよもう、俺たちもさっさと飯食いたいからあっち行ってくんね?」

俺がそう言うと、2人揃ってそそくさと座席に戻っていった。

やれやれ飯を食いに来ただけなのにとんだ災難だ、麗奈もまだ不安が冷めやらない様子、チャラ男許すまじ。


「お嬢さん達、無事でよかった」

2人組が座席に戻り、暗い顔で肉をつつくまで見届けたおじさんが、こちらに戻ってきて先程の様に笑顔をこちらに向けた。

「いえ、ありがとうございました」

『本当に困ってたので、ありがとうございました(*゜▽゜*)』

「良いんだよ。僕にも君達くらいの娘が居るからほっとけなくてね」

おじさんが気恥ずかしそうにポリポリと頬を掻く。

仕草ひとつ取っても、大人の余裕と言うのだろうか、カッコいい。

「君も、お姉さんを守って偉かったね」


ポンポンとおじさんが俺の頭に優しく撫でた、父性を感じるその手にはトラウマが再発する事はなく、寧ろ心地いいとまで思ってしまった。

「……うっす」

いつもなら子供扱いされて怒る所なのにそんな気も湧いてこないので、短く返事を返す。


「さて、おじさんも娘を外で待たせてるからね。ゆっくりご飯を楽しんで。それじゃあね」


「ありがとうございました!」


ひらりと身を翻して去っていくおじさんの背中にお礼を言って、麗奈と座席に戻る。

いつもは頼りになる俺の幼馴染は自分で取ってきた食料をほとんどを食べ尽くし、わんぱくにカレーを食べている。

多分夢中で食べ続けて騒動に気が付かなかったんだろうな、しょうがない。

「えへへ、悠くん麗奈さんおかえりー!カレーおいしいよぅっ」

口の端にご飯粒をつけて微笑む幼馴染に気が抜けてしまう。

もしかしたら先程の騒動も白昼夢だったのかもしれない。


「麗奈がナンパされてて大変だった」

網の上に麗奈が選んだ肉を乗せながら、第一陣の最後の料理、カレーを頬張る涼夏に最低限の報告を済ませる。

「んぐんぐ、にゃんぱぁ!?」


もぐもぐとカレーを咀嚼しながら驚く涼夏。わかるけど行儀が悪いから辞めなさい。

『悠太が助けてくれたの(*゜▽゜*)カッコよかったよ(//∇//)』

いつもいつも可愛いと俺を愛でてくる麗奈にカッコいいと言われるのは満更ではなく、俺の胸の鼓動も密かに高鳴る。


「ごくん、なるほどなるほどっ悠太隊員!よく頑張りました!」


「まあ、結局は助けてもらったんだけどな。カッコいいおじさんだったぞ。紳士的って言うの?暴力とかそう言うの無しで平和的に解決したよ」


俺の自分がなりたい憧れの男性像ランキングをごぼう抜きして一位へと躍り出たおじさんの特徴を涼夏にも教えてやる。


『頭を撫でて貰って喜んでたよね(о´∀`о)』

「悠くんが人をこんなに人を絶賛して尚且つ頭を撫でられて喜んだ!?これはもしや……恋!?」


机をバンと叩いて身を乗り出す涼夏。それに合わせて音にビックリした麗奈の体がビクリと跳ねる。


何を言ってるんだこいつは、おじさんはただの理想像であって、恋愛対象では無い。

確かにあの爽やかな笑顔と、怒るというか、真剣な顔のギャップはカッコいい、男2人の力で掴み掛かってもびくともしないあのフィジカルもカッコいい、正義感があって被害者への気配りができるところもカッコいい。

そもそも身に纏ってるオーラがカッコいい。


あれ?

「馬鹿!俺は男だぞ?おじさんは理想像だ。恋なんてするわけないだろ?」


『その割には顔が赤くなってる。怪しい』

「ああ言う親父欲しかったなって思っただけだよ」

『そうだね。あのおじさんがお父さんだったら』

そうだ、家の事より仕事のこと。葉月姉ちゃんと比べて菜月姉ちゃんを貶めるあいつと違って娘さんと日曜日出掛けたり、見ず知らずの俺たちを助けてくれたおじさんに父親を思い浮かべただけだ!きっとそうだ、俺がおじさんに恋をするなんて事はあり得ない。断じて無い!


「ほえー、そんなカッコいいおじさんだったんだ。見てみたかったなぁ。て言うか揉め事があったなら私を呼ばないと駄目だよ!悠くんまだ全快じゃ無いんだから」


「でもほら店内だからあまり大事にするのもなぁ。お前旨そうに飯食ってたし。だから話し合いで解決しようかと思ったんだけど……話が通じなかった」


「えー、やだねー。こんな所でナンパとか……その人達はまだお店にいるの?」

『あそこにいるよ。おじさんが居なくなったからってまた絡んでこないといいね(^◇^;)』

麗奈が心配している事が起こる可能性はゼロでは無い。

寧ろあんな感じの絡み方をする奴らだ、常習犯の可能性がある。


「むむむ、まだ食べ足りないけど……じゃあ悠くん達が食べたらささっと出ようか」


それはもう本当悔しそうに唇を噛み締め、負のオーラをこれでもかと言う程醸し出しバイキングの方を睨みつけた。


「好きなだけ食べてっていいんじゃね?流石に店内じゃ絡んでこないだろ」


「んーっ、お腹いっぱいだといざと言う時走れなくなるから今日はやめとく。大丈夫だよっまだリミッター外してないからこれで満足なのです!」



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