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合計504300円になります!」

「505000円でお願いします」


 ムスッとしたまま、楽しそうな3人(1人は店員)に連れられて会計を終わらせる。

 どうやら金は蓮さんから出してくれたようだ。

 姉ちゃんの財布から札束がでてきた時はすんげぇびっくりした。


 流石母オブ母、器がでかい……そもそも家を追い出された俺たちを半分引き取ってくれたようなものだ。その器は海より広い。決めた。俺は蓮さんみたいな大人になるよ。

 このクレイジーモンスター達とは大違いだ。

「そうだ、山本さんは今日は何時に終わるの?」


 姉ちゃんが山本さんに聞いた。

 もしかして早速家に誘うのか?俺の気は休まらないのか?


「私の事は沙織で構いませんよ、そうですね、今日は18時頃には終わります!」

「後2時間か、もしよかったらだけど…うちで夕飯とかどうかしら?」

「いいねーなっちゃん!再会パーティーと沙織さん歓迎パーティーだね!」

 ……そのまさかか、まあでも、山本さんも、いくら仲良くなったとしても流石に初対面の人間の家に来るなんてことはないよな。


「いきます!」

 即答かよ。初対面だろ、もう少し遠慮しろよ。


「じゃあ今日はうちでパーティーね、涼夏、悠太、沙織さん、暴れるわよぉ!」


 暴れんな、マジで……片付ける雪兄(強制)が可哀想じゃないのか?そう言えば雪兄忘れてた。

「もももしかして先程の男の娘ちゃんの話からすると!お料理をするのは、この男の娘ちゃんですか!?」


 この女……男の子の部分に悪意を感じるんだが、怒って良いよな。


「ふふ、この子は悠太よ、料理してくれるのはこの子とね、雪人くんよ……ね!ってあれ?涼夏、雪人くんは?」


ばばん!と紹介するが肝心の本人は最初から居ない。

当然だ、寝具売り場に放置して来たからな。


「およ?そう言えばさっきから静かだと思ってたけど…もしかして喧嘩に呆れて帰っちゃったのかな?」


おいおい、もしかしてこいつら、無意識か…?

哀れ雪兄、俺が起こしに行ってやるとしよう。


「居場所は知ってるから俺が連れてくるわ、姉ちゃん達は軽い物だけ車に運んどいて、重い物は俺たちが持っていくよ」


姉ちゃん達から離れて寝具売り場に行くと、雪兄は未だベッドで寝ていた。

スヤスヤと寝息を立て、幸せそうな顔で寝ている雪兄の肩を揺する。


「起きろ、帰るぞ」

「……ん、葉月?夢か?」

「悠太だ、買い物の途中でベットに寝転がったらすぐに寝始めたんだ」


寝ぼけている雪兄の手を掴んで引き起こす。

誰も覚えてないなら、可哀想だから真実は言わなくても良いだろう。


「そうだっけ…俺も疲れてたんだな!」

「かもな、もう買い物も終わって姉ちゃん達も待ってるから行こうぜ」

「おう!このまま手を繋いで行くか!」

ぶん!っと掴んだ手を慌てて離し、脛に蹴りを入れる。

「いだ!何すんだよ…反抗期か?」

「気持ち悪い事言うなよ…」


「ぶはー!男の娘ちゃんとイケメンが手を繋いだかと思ったら男の娘ちゃんの急なツンデレ!!てぇてぇ……!」


びっくりした…なんでここに山本さんがいるんだよ。

「な、なんだあれ…鼻血吹き出してるぞ…大丈夫なのか?」

「雪兄、あれは姉ちゃんと涼夏の新しい友達だ、だがほっとけ、きっと発作だ」


「馬鹿言うな、女性が血を流してるんだ、放って置けるか」

俺が止めようとするも虚しく、雪兄は山本さんにハンカチを差し出しす。

「お姉さん大丈夫かい?良かったら使ってくれ」


普通の女性なら飛び跳ねて喜ぶようなイケメンスマイルを浮かべた。

こんな状況で無ければ、恋に落ちる音がしそうだな。

「だだだ、大丈夫です!2人の間に、私みたいなものが割って入るなんて!ギルティです!」


と雪兄の申し出を断った山本さんは、雪兄の肩を押し、俺の隣に雪兄を並べると、雪兄の手を取って、再び俺と手を繋がせた。

「これがいいんです!」

も、もう行こう、駄目だ、この人に絡むと疲れる。

繋がされた手を仕方なく引いてさっさとこの場を後にしようと歩き出す。


「良いですね!良いですね!あ、悠太くん!菜月さんたちなら隣のカフェで待ってるそうですよ!私も後から合流しますので!イケメンさんもまた後でです!」

疲れたからさっさと帰りたいのに待つのか。

後の事を不安に思いつつ、雪兄と重い荷物を回収し、その場を後にした。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 良い感じでトタバタコメディしてますね。 こういう和気藹々としたコメディ作品は大好物です。 でもコメディだけでなく、シリアス、バトル要素も あるようなので、先が楽しみです♪
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