魔法のレクチャー
私は魔法の練習ということでまた天界に遊びに来ている。今日、記念すべき初魔法はなぜか初級魔法ではなく上級魔法の転移魔法だった。シトリンが言うには一人で遊びに来れた方が楽だから教えてくれるらしいけど、人間がこんな頻繁に死者の世界である天界に来て良いのか疑問に思った。そんな思考を読み取ったのかシトリンは死者の居住区は別のところにあると説明してきた。つまり私はどこにいるのかと言うと、女神や妖精そして精霊たちの住まう区域らしく普通の人間は来れないらしい。といっても人間界と天界を結ぶゲート的な空間にいるので真っ白で何もない。
「転移魔法は他の魔法とは違い属性指定されていないので詠唱はありません!」
「目的地をイメージして魔力を注ぎます。」
「ものは試しです。早速やってみましょう!」
無茶苦茶言っている。イメージだけでいけんの?ほんとに?
まあやってみるか。
「初めてなので一応私がついて行きます。」
「手繋いでいてくださいね」
「分かった。」
「イメージって私の部屋でいいの?」
「はい。」
「りょうかい!」
イメージね。私の部屋、寝室。そして魔力をのせて、と。
すると私の目の前が歪み次の瞬間私の寝室についた。成功したっぽい?
「これは成功でいいの?」
「え、あ、はい。」
「ん?どうしたの?」
「いえ、はじめてで成功するとは思っていなかったので」
「ふーん。じゃあ今度は天界に行ける?」
「いいですけど、魔力切れを起こしていたりしないですか?」
「んー。まだ魔力は感じているから大丈夫だと思うよ」
「じゃあ行くよー」
先ほどと同じで歪んでパッと転移できた。割と簡単できたので拍子抜けしている。正直なところ転移魔法って難しくって魔力を喰うって聞いていたから緊張していたけれどその緊張の糸が解けた。
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転移魔法を教えてもらって次は何を教えてもらえるのかウキウキしていた。いつもはシトリンがお出迎えしてくれるのだけど今日はオニキスがいた。オニキスは闇の妖精でシトリンとは正反対の性格をしている。いわばツンデレみたいで基本的に目を合わせてくれないけれど、めちゃくちゃ優しくて可愛い。
「今日は俺が魔法を、、教える。」
「そうなの?ありがとね」
オニキスはいつもどおり私の目を見ようとしないけれど耳がほんのり赤いので照れているみたい。
「闇魔法は攻撃魔法にもなるし、防御魔法にもなる。」
「追跡魔法としても使える」
「へー」
「今日は攻撃魔法を教える」
「初級魔法だから簡単にできる。」
「分かった。」
「俺がまず手本を見せる。」
「ーー闇よ、我が道を阻む障害を吹き飛ばせーー」
するとオニキスの周りに黒いオーラを放つ矢が現れた。すると近くにあった石に当たり吹き飛んだ。
私も真似をしようと同じ詠唱をして矢が現れた、石に命中はしなかったものの威力は凄かったようでクレーターのように凹んでいた。魔法を使うのは楽しいが詠唱するのが面倒くさい。そして詠唱がダサい。
「もう一回やっていい?」
さっきの一回で覚えた感覚とイメージを脳内で構築させて詠唱なしで試しにやってみた。すると先ほどより細い矢が石の真ん中に刺さり粉々になった。
「オニキス、詠唱って何のためにあるの?」
「しなきゃダメかなぁ?」
「いや、した方が魔力のコントロールがしやすくなるはずだが」
「無詠唱は魔法を極めてからしかできなかったはずだが」
オニキスはブツブツ言いながら最終的に初めに習う時は詠唱をしてその後無詠唱で出来るようだったらやっていいと言うことになった。そしてその日は闇魔法の基礎となる初級魔法を教えてもらった。妖精王たちは日替わりで魔法を教えてくれることになるらしい。
私がいつ来るのか分かるのかを聞くと契約をしているから探知できるらしい。つまりは私の位置情報もプライバシーもあったもんじゃないと言うことらしい。ちなみに魔法のコントロールと追跡魔法そして隠蔽魔法をマスターすれば自分の居場所を心の声を契約主に教えられなくなるらしい。私はそのためだけに毎日コツコツと天界に遊びに行き魔法をマスターしていった。