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私に構わないで!悪役令嬢だから。  作者: あみーご
第2章 7歳・新しい出会い
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閑題・清水祐奈

清水祐奈は人気者だった。学生時代も社会人になってからも周りからの人望は厚く彼女自身の能力の高さやそれ以上の努力をする姿勢に皆肯定的な思いを寄せていた。私もその一人で彼女のお陰で人付き合いが得意になった。


彼女、祐奈とは中学の入学式で隣の席になった事がきっかけで仲良くなった。祐奈は中学校入学とともに引っ越してきたらしく知り合いのいない中不安だと溢していた。彼女は容姿端麗で人目を引く顔立ちだった為そんな事はないと私は確信していたがそんな彼女に友達になって欲しいと真っ赤な顔で言われたときは不釣り合いだと分かっていても無意識に頷いてしまっていた。その後クラスも同じで席も隣同士と色々な偶然が重なり次第に一緒になる時間が増え私たちは親友になった。


祐奈は容姿だけではなく文武両道でクラスの人気者になった。一見高嶺の花のような存在だが彼女自身の性格が人を寄せ付けるものであった為男女問わず人気があり、彼女は存在を知らなかったがファンクラブなどもあった。人を無意識に魅了する彼女は私を変えてくれた。私は小学校の頃にクラスのリーダー格だった女の子に無視され人との関わりを避けてきていた、けれど祐奈と一緒にいる事で彼女は私の全てを肯定してくれた。私のオタク気質な趣味なども勧めれば必ず感想をくれたり話を熱心に聞いてくれた。私は成績が平均的だったが彼女の努力する姿勢を見て見習うようになった。


高校受験の時期になり彼女は推薦で入り私は一般入試で彼女の志望校である高校を目指した。成績の違いから必然的に普通科への入学ではあったものの一緒の学校に通えるという事実だけで頑張れた。高校に入るとやはり彼女はモテて初めてのお付き合いをしたり、彼女から聞いたこともないような恋の話をするようになった。彼氏ができても祐奈は友達思いで時間をいつでも作ってくれた。


流石に大学は違い祐奈は理系、私は文系だったので志望校も違った。彼女は製薬会社で働く為理学部に入り、私は法律の勉強の為に法学部に入った。私も彼女も志望していた職に就け、社会人になっても頻繁に連絡を取っていた。


彼女は研究及び開発職だったにも関わらず昇進が瞬く間に決められいつの間にか管理職の道に進んでいた。私も所属していた法律事務所を辞め独立した。彼女ほどキャリアアップしたわけではなかったが20代のうちにしたことを考えれば同年代の弁護士仲間と比べ早い決断だったと思う。


そしてある日、彼女から嬉しそうな声で部長職に昇進したことを電話で伝えてくれた。自分のことのように嬉しく飲みに行く約束をした。だがその次の日彼女の両親から祐奈が亡くなったことを伝えられた。会社で心肺停止になりそのまま病院に搬送されたが脈が戻ることも意識が戻ることもなく亡くなったと。


私の親友で尊敬する恩人のような彼女がいきなりいなくなるなんて想像をしたこともなかった。祐奈はいつも笑顔でその笑顔がこの世にもう存在しないと分かった時私は目の前が真っ暗になった。彼女の葬儀に出席し、高校の同級生や大学の同期、会社の上司や同僚・後輩までもが手を合わせに来ていた。その光景さえも彼女の凄さを感じた。ただいつもと違うのは祐奈がいないということだった。


彼女の死は私に絶望を与えた。彼女との思い出に浸りそのとき私は彼女はいつだって後悔しないようなそんな生き方をしていたと思いだしいつかどこかで会えるような気がしながら、そして彼女の笑った顔をまた見れるように前を向うと思った。

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