お友達ができた
食事を終えて一段楽して、お父様たちは皆別行動するとのことで私は一人になってしまった。お友達を作る絶好のチャンスだがほとんどの子息令嬢たちは王太子の周りにいて難しそう。ひとまず飲み物でも貰ってこよっと
「すみません。りんごジュースください。」
近くにいた給仕の人にお願いして、その場で待っていることにした。
りんごジュースをお盆に乗っけて歩いてくるのが見えたので歩いて取りに向かおうとしたら同い年くらいのご令嬢にぶつかってしまった。咄嗟に手を引き転ばないようにしたところ給仕の人ともぶつかってしまい良きせぬ二次災害が起こってしまった。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
給仕の人に手を伸ばし大丈夫かを確認して給仕の人は驚いていたもののありがとうございますと言って私の手を取り立ち上がった。そして丁寧に謝ってきて申し訳なかった。ぶつかってしまったのは私の落ち度だったので謝られる理由がないものの貴族の社会の中ではそれが良しとされないのでこちらからも謝りこの件に関しては終わりにした。
だが私がぶつかってしまった女の子はりんごジュースがドレスにかかってしまい胸元の真っ白いリボンが黄色になってしまい、今にも泣きそうになっていた。私は彼女の手を引き壁際に歩き道中白いテーブルナフキンを2枚手に取った。
「ごめんなさい。私がぶつかってしまってドレスを汚してしまって。」
彼女は首を振って大丈夫だと言ってくれたけれどやはり汚れてしまったのはどうしようもなく着替えも持っていないので少しでも許してもらおうという自分勝手な考えで、さっき持ってきたナフキンの1枚で濡れてしまった部分を拭き取り、もう1枚でコサージュを作りせめてリボンの代わりになるようにと彼女の胸元につけてあげた。
「ありがとうございます。」
彼女は先ほどとは違い笑顔で少しだけれど罪滅ぼしをできたような気になった。
「先ほどはごめんなさい。私はユナ・シアーズです。あなたのお名前は?」
「私はミユ・モーガンです。」
「よろしくね。よければなのだけどお友達になってほしいです。」
そういうと目を見開いて首を縦に振ってくれた。
「じゃあ敬語なしね。名前も好きなように呼んでほしいな。」
ぐいぐい行きすぎて引かれると思っていたら。
「ユナちゃん?」
上目遣いで天使のような笑顔で可愛すぎて思考がちょっとだけ停止した。
「よろしくね!ミユ!」
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この日お父様たちに帰ることを告げられるまでミユと話し込んでいた。私は心のどこかで前世の親友を思い出していた。最初こそ控えめだったが月日が経つにつれて私に対して毒舌で趣味の共有というか強要してきたり私に対しての対応が最初とは雲泥の差だった。ミユは絶対そんな風にはならないと思うが。。。