料理が素敵すぎる!
お父様とお母様は国王夫妻と仲が良いらしく、話が弾んでいた。初めて知ったことだががお母様と王妃様は従姉妹らしく幼なじみで仲がよく学園にも一緒に通っていたことを教えてもらった。王妃様は美人さんでお母様と並ぶと破壊的に綺麗だった。国王夫妻は気さくで楽しく会話でき、政治新聞を読んでどんな人か想像していたことを話すととても驚いていた。国王陛下だけでなく王妃様そして私の家族も。
すっかり忘れていたが性格が豹変するのは恐怖に近いので徐々に慣れさせようと思い、記憶が戻った後に私が図書室で勉強しているのを秘密にしていた。その為か私が勉強をしていることや政治についての情報収集をしている事を全く知らない。話の内容のついでに図書室で本を読むのが好きだと告げ、そして歴史の流れや文明の栄えに興味があると話すと国王夫妻は嬉々として話を振ってくださった。ただ私の家族は驚きからか何も言わずただ私が国王夫妻と会話しているところを聞いていた。
正直両陛下の熱量に当てられて私も熱くなってしまった。本来王族の椅子に座る事は許されていないはずだが王太子殿下が座っていたであろう椅子に座るよう促された。その後王妃様は私に何かしらの興味を持ってくれたのか王城に遊びにきて欲しいと言ってくれた。前世からだが私はとにかく話の引き出しを豊富に用意している、交友関係を築くのに一番役立つと思っているから。今回はその効果もありおそらく20歳上の両陛下と楽しくお話ができた。
「今日は楽しいお話ができてよかったです。」
「貴重なお時間ありがとうございました。」
両親もお兄様もリントも途中で席を立っており私一人国のトップと話していると言うカオスな状況だった。だが次から次へと来る話題の波に乗ってしまい、ただ話の腰を折ったりすると不敬になりかねないのでちょうどいいタイミングでお礼と会釈をした。国王夫妻も楽しかったと話してくださり私は満足し家族のもとに向かった。
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その頃、ユナが国王夫妻と語っていた時ユナの家族は困惑していた。ある日突然痩せたり丁寧な言葉遣いに変わったと思っていたら、自主的に勉強をしており王族であり国をまとめている両陛下に物怖じする事なくありとあらゆる話題を展開するところを見て困惑しながらも静かに見守っていた。
「お兄様!リント!お料理取りに行きましょう!」
ユナは家族のもとに行き、開口一番料理を取りに行きたいと言った。
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私が料理を取りに行きたいと宣言したら二人はほんの少しばかり呆れた表情を見せた。両陛下とのお話はもちろん有意義で楽しく良い時間を過ごせたと思っている。が、今日このパーティーに嫌々ながら参加したのは美味しい料理があると思ったからだ。
「じゃあいこっか?リントも一緒に取りに行く?」
「お父様たちと待っていてもいいよ?」
「僕も行く。」
お兄様が中腰になりリントと目を合わせて喋っている。なぜだろうかこのやりとり凄く可愛い。。。
「行くよ?ユナ?」
「あ、はい。」
凄く楽しみで無意識にスキップしたらしくお兄様に止められた。ビュッフェなのでテーブルマナーを気にする事なく好きなものを好きなだけ食べれる。
さすが王族用意するラインアップが最高すぎる。イセエビ科と思しき海老だったり、ヒレ肉だったり、前世から高級で貴重な食べ物が当たり前のように置いてある。ここは現実か?
しかも肉は頼めばその場で調理してもらえるって。最高かよ!
それだけでなく3大珍味とされるキャビア・フォアグラ・トリュフが使われたフィンガーフードまである。心の中は興奮状態で確かにおいしいものを楽しみにしていた。が、ここまで最強の布陣が組まれているとは思いもしなかった。
私は料理を取ってくれる執事さんにお願いして次から次へと食べたいものをお皿に乗せてもらった。立食パーティーなので椅子はないがテーブルは用意されており大きなお皿でも問題ない。何がなんでも食べてみせる、後悔しないようフォアグラのソテーをはじめ、フォアグラのカナッペやトリュフのアランチーニ、とっておきはヒレ肉を見た瞬間から狙っていたシャトーブリアンをお願いしようとブロックで置いてあるヒレ肉のテートとフィレの間と言おうと思ったが、そもそもこの世界において馬の部位がそこまで細かく分かれているとも思い難い。なのでここからここ、と、指してちょうど良いサイズにカットしてくれた。シャトーブリアンはいわゆる貴重な部位なはずだがゲットできてよかった!!明日死んでも悔いはないかも。
「お兄様、私は食べたいものを取り終えました。」
「お兄様たちはまだですか?」
「ちょっと待ってね、リントがデザートも一緒に取りに行ったから。」
「わかりました。」
目の前に美味しいであろう料理たちがあると言うのになんだか内心お預けくらっているような気分で少し悲しい。心の中でリントを少し急かしお兄様とリントが戻ってくるのを待った。
「ごめんね。待たせちゃった?」
リントが上目遣いで聞いてくるものだからさっき少し負の感情を抱いた自分を殴りたくなった。
「大丈夫だよ〜じゃあお父様たちのところ戻ろうか」
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お父様たちの元へ戻りテーブルに料理を乗せ、まず出来立てのお肉から食べた。ミディアムレアにしてもらったのでお肉の柔らかさと硬さを同時に楽しめる。口の中で肉の味が広がり最高すぎた。せっかく指定してもらった部位なのでお父様にも一口あげた。私的には肉の感想が欲しかったがあ〜んしたせいで肉の味云々じゃなかったと言うのであげたことを後悔した。こんなことなら自分で食べれば良かった。
次にパンの上にキャビアとサーモンの乗ったカナッペを一口で食べた。キャビアの塩っぱさがさっき食べたお肉とマッチするかの如く感動した。まだ二品目だというのにもう満足しそうなほど美味しい。
トリュフのアランチーニ、フォアグラのソテーもまた美味しく手が止まらなかった。最低限のマナーは守ったはずだが思い出せないくらい食べ物に夢中だった。
他のご令嬢たちは王太子に夢中だったらしいが私は正直食の方が魅力的だ。