妖精の愛し子との出会い ーシトリン視点
私は妖精の中でも上位の妖精で、今や妖精界の長老と呼ばれている。妖精は天界に住んでいるものと人間のいる世界にいるものがおり私は天界で暮らしていた。妖精は基本自然から生まれるけれど、妖精王の私は女神様の力から生まれた。私は人間界に出ることもなく2000年を天界で過ごした。
ある日、女神様と他の妖精王たちと精霊王とのお茶会で女神様から愛し子が生まれたことを教えてもらった。なんでも、女神様が使いのものに頼んで前の生を終えたらこちらの世界に転生させることを命じていたらしい。その子の魂とオーラが女神様のお気に入りなんだそう。
その後も天界で過ごしていた、だがある日人間界に引き寄せられるように目的地も分からないけれど心の赴くまま飛んでいた。すると、他の妖精王たち、いわば同志たちも同じように人間界に降りてきていた。そしてたどり着いた先は湖近くに佇む家だった。小さな女の子が一人家の中にいた。その女の子は女神様のように綺麗でまだ幼いその横顔は真剣な眼差しでピアノを弾いていた。近くに引き寄せられて気づいたら話しかけていた。驚いてキョロキョロしていたのが可愛くて妖精王達とはしゃいでしまった。
姿を見せた時と自己紹介を聞いてくれていた時の笑顔がさっきまでの真剣な表情も綺麗だったが笑った顔は天使のように可愛かった。妖精王は基本天界に住んでおりあまり人間界に降りる事はないが、ユナさんのそばにいることが心地良くて契約したいと直感的に思った。それは他の妖精王達も同じだったらしく皆目配せをした。通常人間との契約は魔力量が増える9歳からだがユナさんは7歳にしてかなりの魔力量を保有していた。
ただユナさんとは契約できなくてもお友達になりたかった。妖精王は他の妖精たちとは違い自然から生まれたわけではなく保有する魔力も膨大、中々自分達から契約したいと思う事はないけれどユナさんを一目見た時から私達は契約したいと思ってしまっている。
契約するにあたって契約主の魔力を吸収する、魔力操作は練習が必要なのだがユナさんは一発でできてしまった。それほど魔力の乱れがなく魔力量も多いという事なのだろう。10妖精が一度に契約することなど私が知る中ではない、実際妖精と契約するには一定の魔力量と相性が必要なのだが、女神様から生まれた妖精王と一瞬にして契約を済ませたユナさんは女神様のお気に入りだということが納得できた。そして、それと同時に私達妖精王のお気に入りにもなった。
ユナさんはお友達になりたいと言って契約をしてしまった事にかなり困惑していたが、魔法を教えることができると告げた時一瞬にして思考変換したのが面白く、そして私達に心を通わせてくれているということがとても嬉しかった。