私たちの冒険はこれからだ
すごく短いです
学校は思っていた以上に広大だった。
魔法陣の上に乗ってすぐに平衡感覚を失うような気持ちの悪さが襲ってきて気づいたら目の前には大きな門構えの学校が建っていた。
入り口に遊園地の入り口にあるような大きな地図がある。
大きいとは聞いていたが、ここまで大きいとは。開いた口が塞がらない。
電車が通っているというのも納得の大きさだ。
「? リッチェル様どうかしましたか?」
同じように魔法陣で移動してきたアイヴァンくんが棒立ちになっているのを訝しんでいる。
「いえ、立派な学校で驚いてしまって…」
「あぁ、そうですね。かなり辺鄙なところに建っているのでここまで大きなものが作れたのだといいます。……どんなに遠い場所に建っていてもここまですぐに魔法陣で移動出来るのが大きいんです」
なるほどねー。
納得したけどこんなにでっかい学校を作る意味ってあるんだろうか。戦争とかないのかな。こんな人が集まりまーす、って言ってるようなおおきな建物狙われたらひとたまりもないだろうに。
疑問をアイヴァンに質問することなく、門の中に足を踏み入れる。
茜が疑問に思うことは多々あれど、茜に必要な知識というのは限られているのだ。変にこの世界のことを知らずとも……茜は元いた場所へ帰るんだから。
新入生が入る時期とはずれてしまっているため、出席すべき式典はない。
とりあえず職員室に入って挨拶だけでもするべきだろうか。
職員用の建物は入り口になっている校門から少し歩いてる突き当たりにある。そこから道は左右に分かれていて、さらに奥に続いている。列車は学園の外周を囲むようにぐるりと囲まれており、職員がいる建物よりも手前に校門の駅が、見えている。
「念のため先生方に挨拶にいきましょう。取得授業を選択する際の注意事項や選択できない授業がないかを確認しておかないといけないですしね」
さすが学園に通っていただけある。言うことにいちいち納得してしまう。
ここで、知識を蓄えるぞ! と意気込み、茜は最初の一歩を踏み出した。