表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/171

【九十話】ファーストダンスは弟と。



 私はキースにエスコートしてもらいながら、パーティ会場に戻る。

 中央に入ったりはしない。



 次の曲になったら、そっと端に入ろうと思う。



「ミシェールお姉様は、いつもより背が高いですね」


「そうそう。今日は十センチのヒールを履いてるのよ」



 ドレスを少し捲ってキースに靴を見せると、彼は慌てたようにスカートを下げさせる。



「他の男の前で、足を見せないで下さい」


「あら、ごめんなさい」



 相変わらず過保護な弟ね。

 頬を染めて可愛いったら。



「ところで、なんでシンデレラと踊らないのよ?」


「ミシェールお姉様はどうしてそんなに鈍いんですか? オリヴィアお姉様なら一発ですよ?」



 なんですってー。

 姉に向かって鈍いって言った?



 酷いじゃないの。

 オリヴィアお姉様なら一発って。



 …………。

 オリヴィアお姉様なら、一発……。



 そうなんだ。

 確かにあの姉は鋭い。


 

 王宮のラウンジで、影の存在を看破された時を思い出す。

 人の一挙手一投足で理解するのよね、あの人。



 ちょっと悔しいじゃない。

 同じ血を分けた姉に完敗なんて。



 私だって、それなりに鋭い方を自負しているわ。

 オリヴィアお姉様ほどじゃないだけよ?



 と思いたい。

 あの姉。シンデレラの意中の人も看破してたのよねー。



 しかしは、分からないのだからしょうがない。

 ここは、ハッキリキッパリ言って貰おうじゃないか。



「で、どうしてなの?」



 キースは少し困ったように言い淀む。



「困るからです」


「何か困るの?」


「ミシェールお姉様は僕の事を何だと思っていますか?」


「徹頭徹尾、可愛い弟」


「シンデレラお姉様には他意があるからです」


「他意って?」


「そこまで言わせるんですか。察して下さい」


「察せないから聞いてるのよ、約束よ。答えなさい」



 私、エラそー。



「好意を寄せられているという事です」



 キースは言い難い事を言い切ったとばかり、やり切った感。

 ホッとしてさえいる。


 何、自分だけホッとしてるのよ?

 爆弾発言ですけど……。


「…………」



 私は、聞き間違えたんじゃないかと呆然とする。


 ハイ?


 今、なんて言ったの??



 なんで、姉が弟に好意を寄せるの?

 意味分かんない。



「姉が弟を好意的に思うのは当たり前でしょ」



 最後の望みとばかり、おずおずと聞く。



「そういう意味じゃありません。恋情の話です」



 うわー。

 言い難いと言っている事を、最後まで言わせちゃったよ?

 

 

 キースったら。

 開き直ってね?



 恋情って……。

 愛とか恋とかの恋情でオッケー?



「あんた達、姉弟よね?」


「血は繋がってませんけどね」



 ん?

 キースとシンデレラって血が繋がってないの?



 何で?

 キースとシンデレラって先妻の子でしょ?



 同腹の兄弟じゃないの??



 え?



 私のお父様とお母様がご結婚をした時、弟と妹が出来たのよ?

 そのタイミングで良いはずよ?



 母が後妻に入って、先妻の子と合流して四姉弟。

 合ってるわよね?



 私とはともかく、シンデレラとはかなり濃い血で繋がっている筈でしょ?

 違うの??

 


 私はちょっと頭が混乱していた。

 


 じゃあ、キースって?



 誰の子??????



  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ