【八十一話】ダンスパーティー当日
毎日更新を目指しつつ、隔日になってしまう事もあり、
申し訳ありません! そろそろクライマックスに入りそう?
なので、なんとか駆け抜けたいと思います!
鏡の前には真っ赤なドレスを着込んだ悪女? が微笑んでいた。
というか私だけど。
朝から湯浴みをしたり、髪を上げたり大忙しだった。
ダンスパーティー当日。
第二王子様から届いた薔薇を髪に飾り付けていく。
長い髪を耳の後ろ辺りで纏めて、片方の肩に下ろして行くのだけど、その下ろした髪にも花を編み込んでいく。
いやー。
前世でいうと結婚式のお色直し風な華やかさだ。
着飾ると気持ちが上がるわね。
ちょっとだけ楽しみにすらなって来たわ。
準備万端整った所で、ノック音が響く。
手筈通りセイが来たのだろう。
セイが入って来ると、メイド達は入れ違いのように下がって行く。
鏡越しにセイと目が合って笑った。
「早いじゃないの?」
「一応ね」
彼は式典用の近衛の制服を着ている。式典用は肩や胸に金色の飾りがふんだんに使われている。勲章とか貰っていると、こういう時は胸に付けたりする。
セイは付いてませんよ。
付いているのは将軍とかよね?
しかしーー
マジ似合うわね。
近衛の制服。
近衛での参加ということは、今日は本名を知ることが出来そうね?
というか皆は知ってる訳ね。
私も、バッチリ聞けるわ。
ふふん。
素性を知っている影は影に有らず。
弱味を握ったも同然ね!
何故か鼻息を荒くして勝ち誇った。
こういう所が悪役令嬢っぽいったらない。
「お前、化粧するとマジ悪そうだな?」
「何ですって」
こういう時は、嘘でも「綺麗ですね」とか「可愛いですね」とか言うものよ。
貴族失格。
しかしさ、メイドもなんでこんなに濃いルージュを引くかな。
頬紅もね。
もうちょっとナチュラルにして欲しいとお願いしたのだけど、似合いませんだとか、ドレスに負けてしまうとか。
そういう感じで押し切られてしまったのだ。
まあ、こんだけ盛ると目立つって話だよね。
私がさ、王子様だったら、こういう令嬢は誘わないわよね? ダンスに。
いかにも結婚したら尻に敷かれそうだし、かかあ天下になりそうだし。
私はくるりと回ってみる。
ダンスを踊っている時のイメージだ。
スカートが綺麗なシルエットで開くかどうか?
鏡の前で試して見たけど、割りと良い感じ。
「どう? セイ、ダンスに誘いたくなった?」
「…………」
冗談で聞いたのに、セイはだんまり。
いや、普通に冗談でテンポ良く返そうよ?
これから何をやるか分かってるんでしょ?
だったら乗ってよね?
言った私が恥ずかしいじゃない。
セイは私にそっと手を差し出す。
エスコートしてくれるのだ。
これから彼の令嬢の所に。
この正装で顔を出す。
どんな顔をするかしらね。
ティアナ・オールディス。
本音をあぶり出してやる。
悪役令嬢の本領発揮だ。