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【七十四話】選べない二択



 彼の口がそっと離れた後、私はルーファスの胸の中にスッポリと抱かれた。


 今度はギューッとではなく、優しく包み込むように。



「あまり、心配を掛けさせないで下さい」



 ルーファスの声が胸の震動から伝わる。

 何だろう?



 彼が喋る度に伝わる、震動と響きは。

 妙に照れくさいじゃないか……。



 遅れて頬を染めた私に、ルーファスは軽く笑った。

 安心したように、それでいて可愛がるように。




 恥ずかしいわょ?

 なんだかとっても恥ずかしい。



 居たたまれないわ。

 でも、体温が心地良いような……。



 私はむず痒くて、ちょっと身じろぐ。

 そうすると、ルーファスがちょっとギュッと抱くのだ。



「逃げないで下さい」


「逃げてはいません」


「このままずっと抱いていたいんです」


「…………」



 私の頬はカーッっと熱を持つ。



 何なのかしら?

 ルーファスがド真ん中ストレートを投げて来るわ?



 私はというと、やっぱりモゾモゾする。



「そんなに動かないで下さい。くすぐったいです」


「……私もくすぐったいです」



 彼の顎が私の前髪に当たっている。

 胸の中が高揚していくような不思議な感覚。




「ミシェール、二択です選んで下さい」


「?」


「このまま、僕にお説教をされる。もしくはベッドに押し倒される」


「!?!」



 何?

 その二択……。



 お説教なんて大嫌いだし、押し倒されるっていうのは……。

 嫌いとか嫌いじゃないとかじゃなくて、選んじゃマズいんじゃない?



 という選択肢だ。

 どうしようね?



「お説教は嫌いなの」


「じゃあ、二つ目の選択肢で良い?」


「………それはダメ」


「二択ですよ? 可愛いミシェール」


「…………」



 その二択でどうしろと?

     


「選ぶのが難しいわ? 押し倒すってちょっとハードな気がするのだけど」


「別にハードではないですよ? 結婚後の日常です」


「………」



 日常って!

 そんな事、口に出さないで欲しい。



 恥ずかしいじゃないか。

 益々顔が紅くなる。



 この赤面止まんないわね?

 どうすれば良いの?



 無難にお説教を選べば良いのかしら?

 微妙にプライドが許さないのよ。



 でもさ、プライドなんて、高すぎると身を滅ぼすたけなんだから。

 捨てちゃおうかしら?



 それが良い?






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