表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/171

【六十七話】愛妾か死か



 私は自室の丸テーブルで項垂れていた。



「ハァー」



 なんか大事になって来たわー。

 隣国の王様かー。



 恨めしそうに天井を見た。

 ハァー。


 もう少し、事前説明が欲しいところですよ?

 セイさん。



 どうしろって言うんですか……。

 溜息止まんないわー。



 つまりは、ルーファスと婚約なんかさせるかボケ。

 愛妾の一人にでもなってろ。



 という宣言をしに来たのよねー。

 うん。



 わざわざ宣言してくれたという事は、事前に関係者各位の根回しをしたい訳だ。

 何つーか、滞りなくスムーズに運びたいと。



 しかも、私的には、そんなに悪い提案じゃないと思ってしまう所が、ポイントよね。



 それらしく納得してしまえば、反発も少ない。

 セイはフィラル王国の内々の約束を知っていたんでしょうね?



 というかルーファスだって知っている筈よ。

 あんなにグイグイ来てるんだから。



 何度も直接足を運んでいて、もしかしたら治癒魔法の使い方すら指導しているかも知れないわね。



 だって、アッシュベリーには精霊術の行使の仕方が確立されていないだろうし。

 指導者的な誰かはいないと困るだろうし。



 陛下が、公務を弟に丸投げして、足繁く通っていたと。

 そういう事なんだろうか?



 優秀な弟って素敵ね。

 うちのキースも大概優秀だけど。



 その上、従順。

 弟万歳よ。



 今、世の弟たちを敵に回したかも知れない。

 まあ、それは置いといて。



 つまりなんだろ?

 私の存在って、フィル王国に取って邪魔以外の何でもないわよね。



 ものすっごく邪魔。

 いない方が万事進みやすい。



 殺されてもおかしくない程邪魔な訳だ。

 愛妾なんてイヤです。



 とゴネるとどうなるのかしら?

 不慮の事故にでも合いそうね。



 そもそも私に選択肢がない。

 愛妾か事故かの二択。



 もちろん取るべきは愛妾だ。

 死んだら元も子もない。

 つまりは一択。



 落馬事故がフィラル王国の所為だった場合、今回の件で第二王子様の意志が表立ってしまった。



 亡き者にするより、愛妾の方が増しだという妥協案が出た切っ掛けになったのかも知れない。



 今殺さなくても、愛妾として自国に連れてきて、第二王子様の感情が冷めるのを待って、殺すとか。



 まあ、自国に連れて来ればいつでも殺せるわよね。

 わざわざ波風の立つ時期を選ぶ必要はない。



 そもそも従順な愛妾なら、わざわざ殺すまでもないのだろう。

 子供は一人でも多く欲しいのだろうし。



 それもこれもあちらの姫次第だろうか?

 これだけお膳立てしているのだから、ダンスパーティには来るのでしょうね。

 第一王女様。



 どんな姫なのかしらね?

 きっと髪は艶やかな真珠色。



 肌は白い陶器のように美しく、頬は薔薇色。

海のように深いエメラルド色の瞳。



 私は想像するだけでうっとりする。

 素敵ね。



 皇后陛下と似ているのかしらね?

 ルーファスもの似ているのかしら?



 あの父の子ですものね。

 色々楽しみだわ。



 私はというと、途中から第一王女様の容姿やらドレスの色やらを想像する事に忙しくなり、若干の現実逃避ぎみだ。



 硝子の靴が良く似合いそうな王女様だと思った。

 珊瑚色のドレス。

 海色のドレス。

 それとも地平線の夕日色。




 どれも似合いそうだから、私は少しだけ六日後のダンスパーティが楽しみになるのだ。



 そうもう六日後なのね?

 一週間を切ったわ。 


誤字脱字報告ありがとうございます!

いつも綺麗に直して頂いて、とっても助かります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ