【六十一話】自分をオリヴィアお姉様だと思おう
うーん。
瞑想してみよう。
まずは洞察力。
だけど、取り敢えず目の前にシンデレラはいないので、過去のシンデレラの様子を思い返して見る。
まず、私と共有して来た時間。
家族の時間だ。
私が九歳、シンデレラが八歳の頃から家族をしている。
オリヴィアお姉様と弟のキースも一緒だ。
お父様、お母様を入れて六人家族、四兄弟だ。
前公爵のお祖父様、側妃様の息女だったお祖母様は亡くなられていた。
思い返して見ても、前世の家族より、全然家族をしていないのよね?
なんていうか、一人の空間が大き過ぎるのかなと思う。
しかもお母様が、先妻の子と実子を分け隔てなく育てる……という出来た人ではなかった為、明るい家とは言い難い。
しかし、恋というものは、家には落ちていないだろう。
明るかろうが、暗かろうが、家族は家族だ。
でも待って。
男がいない訳じゃない。
家族は論外だが、公爵家という大きな家は、家族以外の人間の方が、余程多く住んでいる。
まずは目に付くのはメイド。
女子なので論外。
庭師。
これは男子だか、割合年配だ。
調理師。
これも男子。
結構いるな男子。
上は何歳までと限定しない方が良いだろうか?
いやー。
年齢上限はなしでも、既婚はまずいだろ。
未婚男子で絞ろう。
そもそもこれらの使用人には、高確率で息子がいて、意外に我が家に出入りしているのだ。
結構、こういう身近な恋ってありなのかしら。
ありかなしかは性格と価値観が大きく関わって来るわね。
オリヴィアお姉様は絶対なしね。
そもそも自分至上主義なので、茨の道は進まないのだ。
一昨日だって、「金も美貌も身分もある」と高々と宣言していたのだ。
これらのどれかを失うような事をするタイプではない。
じゃあ、シンデレラは?
シンデレラはどうなのって話。
「…………」
いきなり分からないとキタ。
なんで分からないの!?
「セイ、私、意外に義妹の事を知らなくて吃驚だわ」
「そうかよ」
「どうしてかしら? オリヴィアお姉様の方がまだ分かる」
「俺がその理由を簡単に推理して見せようか?」
「……お願いするわ」
なによなによなによ。
推理の見本を見せてくれるの。
是非お願いします!
「期待するなよ」
「期待してるわよ」
何と言っても諜報のプロだ。
どんな手口が聞けるやら。
「プロの技は見せないケドナ」
「じゃあ何を見せるのよ」
「秩序だった物の考え方」
「ふーん」
じゃあ宜しく、セイ。