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【五十九話】実の姉ですが、良い性格してます




 私はなんだか気怠く庭園を眺めていた。

 姉ね……。


 あの血の繋がった実の姉は、何なんでしょうか?

 妹の婚約者を奪うために、落馬させるくらい、やってのける性格じゃない?


 しみじみと考え入る。

 二人目は馴染みの人。

 二つ違いの姉でした。

 四人のうちの一人が姉だなんて思うと、正直驚きもひとしお。


 今までそれなりに家族だと思って来た相手である。

 予想もしていない人選だ。


 まあ、王太子様というのも予想を遙かに超えた人選でしたけど……。

 

 姉は妹の落馬をむしろ喜んでいる節があった。


「お陰で、王家の秘密が分かったわ」


 と、嬉しそうに言っていたものねー。

 ある意味素直な人だ。

 愛とか恋ではなく、自分が怪我をした時の為に、治癒魔法術を使う王子様と結婚したかったのねー。


 一歩間違えると、第二王子様を挟んで骨肉の争いが起こっていたかもしれない。


 ふと首筋に手を当てる。

 もうそこには醜い傷は残っていない。

 綺麗さっぱり消えていた。

 元より綺麗じゃない?

 と思ったら負けだ。

 滑らかで、白い肌になったとだけ言って置く。


「おーい、セーイー」


 私は天井に向かって手を振る。

 それだけで、観念したのか直ぐに降りて来てくれた。

 推理は一人でするより、二人でする方が捗るのだ。


 色とりどりのフルーツが入った、ティーポットからフルーツ水を銀の器に注いで差し出した。

 レモンとオレンジ、マスカットが入っている。

 黄色とオレンジと黄緑色。


 目にも鮮やかで、中々和ませてくれるフルーツ水だ。

 ちなみに砂糖は入っていない。


「これ、おいしくない?」

「……うまいな」


 だよねー。

 爽やかな酸味で、水が進む進む。


「お前、フルーツとか水ばっかりダナ」


 ギク。

 ギクギク。

 なかなか固形物は食べられないわけよ。

 一日一個くらい柔らかいパンを食べてるけどね。

 というか、この世界は硬いパンがメインなので、焼き色が付いた部分を削いで食べてるのだが。

 前世的に言うと、まあ。皮は全部取るという贅沢食べ。

 早く普通に食べられるようになりたいわー。


 一応、厨房で削いでもらっているので、食材として廃棄されるわけではない。

 お菓子にしたり、料理につかったりしているのだそうだ。


 砂糖をまぶして焼いたり、パン粉的なアレね。

 シチューの仕上げに入れたり、ソテーした魚に塗してみたり。


 しかし、それはそれで美味しそうよね?

 元気になったら食べたいものだわ。


「セイは、オリヴィアお姉様っていう線、あると思っているの?」

「………別に」


 別にって何よー。

 まだ分かんないって事?

 随分と条件は揃っているわよね。

 飼い葉にクスリを混入させられる立場。

 私の部屋に忍び込める立場。


 そして王子妃になりたい立場。

 妹から力づくでも奪うと大々的に宣言していたもの。


 感触がするのだ。

 首筋の感触。

 第二王子様に触れられた感触。

 柔らかい、唇のーー


 その相手が、私ではなく、お姉様だったら、どんな気分なのだろう?

 心が少しざらつく。

 あの温室の高芯の薄いピンク色の薔薇を思い出す。


 随分と食い込んでいるじゃない。

 想像以上ね。



 お姉様が帰る時、これ幸いと私は硝子の靴の事をお願いした。

 メイドに聞けば、場所は分かるからと。

 ダンスパーティーの日までに、シンデレラに渡して欲しいとお願いしたのだ。

 姉は快く承諾してくれた。


「お姉様、シンデレラの恋をしている相手を知っていますか?」

「アラ、知らないの?」

「知りません。教えて下さい」


 慌てる私に姉は言ったのだ。


「考えれば、いつでも答えに辿り着けるわ。ミシェール」

「…………」

「頭と心を繋いで考えれば、辿り着けない答えは少ないの。頭は使うためにあるのでしょう?」


 そう言って優雅に笑ったのだ。


 なぞなぞ????



 


いつもお読み頂いてありがとうございます。

昨日は更新がなくすみませんでした。


誤字報告ありがとうございます。

とても助かります。

沢山ありましたね(汗)


ブックマーク&評価を入れて頂いた皆様、

ありがとうございます。

モチベーションが上がりました!


これからも楽しんで頂けたら嬉しいです。

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