表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/171

【五十五話】犯人は全てを知り、被害者は一部を知る



「セイ、情報の漏洩は気にしないでね。 私、当事者だし」



 明るく柔やかに言っては見たが、心外そうに睨まれる。



「俺は情報の漏洩防止に囚われて、大事を逃したりするつもりはない」



 ですよねー(汗)

 分かります。

 こうして護衛対象と飲み明かしてる(水だけど)時点で、融通が利くって知ってますよ?



 正直、影(もちろん複数いるのが大前提だ)が、洗い出しをして、シロとしたものを、私が再度洗い出す程無駄な事はない。



 つまりは情報を共有させて欲しいのだ。

 事件解決の為に。



明日になれば、ダンスパーティーまで十二日。

 私と第二王子様の関係が、衆人環視の元、公にされる。



 犯人に取っては、その時、隣に立っているのは、自分であって欲しいということよね?



 健気なのか狂気なのか両方なのか。

 恋って凄いのね。



「どうしても動くというなら、俺が指示した通りに動いて貰う。それ以外は不可だ」



 キター。

 譲歩案。



 私だって、事件の尻尾すら掴んでないのに、第二王子様に惚れている令嬢全員に会おうなんて思ってないわよ。



 時間は少ないし、出来る事は限られている。

 要領よく行きたい訳よ。



 ヒントよヒント。

 ヒントが欲しかった。



「まず、不透明な部分をクリアーにする為に、人に会ってもらう」



 うんうん。なるほど。何人かにカマを掛けるんですね。

 分かります。



「そこでこちらの用意した台詞をそのまま言ってもらう」



 お安い御用よ。

 それによって相手のボロを拾うって事でしょ?



 得意分野。

 いけるいける。



「オリジナルは挟むなよ?」


「……なんでよ?」

   

「感づかれるからダロ」


「………なるほど」



 私、台本通りにちゃんと言うわ。

 なんなら今から暗記する?



「四人の人間に会ってもらう。始終友好的にすること。お前の方が身分が低い場合は、完璧な礼儀作法で失礼のないように」


「………」



 私の方が身分が低い……。

 何度も言うか我が家は貴族界ではトップの公爵家だ。



 自分より身分の低い人間は五万といるが、高いとなると数えるくらいしかいない。



 それだけで、大分絞れるわね……。



 口に出せるくらいしかいない………。



 王族と。

 第一第二第三公爵家と。



 私は静かに考え込む。

 その中で、王立学園に通う御令嬢となると……。



 大人しそうな、品の良い、第三公爵家の御令嬢を思い出していた。

 それこそ、数えるくらいしか口をきいたことがないのだが。

 


 えー。

 彼女?



 いや、まあ、決定とかじゃないけど……。

 四人か……。



 つまり影は四人に絞っているということ?

 私はこの四人に会わせて貰える。



 これって王手じゃないの?

 私が必至を掛けさせて貰える?



 ちょっと浮かれぎみです。

 王手ついでに将棋に例えると、まあ、金銀四枚の中にフェイクがいると。



 「オイ、聞いてるのか?」


 「? 全然きいてなかったわ?」


 セイの額に青筋が立つ。


 「明日は予定がないから、一日中寝てろって言ったんだよ」

 「???」


 一日中って。

 随分長い時間ね。


「明後日になっても、目元に隈を付けて青白い顔をしていたら、この話は却下だ。覚悟しておけよ」

「!?!」


 嘘!?

 

 寝る。

 絶対、寝る。

 絶対、隈、治す。



 そして食べる。

 取り敢えず、パン粥と野菜をペースト状にしたスープから。



 血色がよくなるよう努力するわ。

 全力宣言よ?



 ここで却下されたら、立ち直れないもの。

 それにしても、スゴイ交換条件ね?

 

 

 私の性格を良く熟知しているというか?

 上手いこと人を転がすというか……。


 


 私はセイと慌ただしく別れて、ふかふかのベッドに潜り込む。

 王宮のベッド凄いな。

 なかなか気持ち良いです。



 眠れそうですよ?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ