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【四十五話】影とは決して離れないもの



 徳川吉宗が江戸城入りした時に、連れて来た『影』の事を、お庭番という。

 何というか表向きの身分がお庭の手入れ的なものであったらしい。



 まあ、これは前世の、しかも歴史上の過去の事になる。

 今世では過去ではなく、目の前の現実だ。



  凄くない?

 『影』って?



 やっぱ王家にはいるのね?

 代々専属の影の存在。



 昨日、命を狙われたから付けてくれたのだろうが、普通に考えれば落馬した直後に付けそうな気がするがそれはしなかった訳だ。



 公爵家の警備を信用していたか?

 もしくはタイミング的に有り得ないと踏んでいたか?



 もっと根本的な事で、公爵家に王家の影を入れる訳にいかなかったか?

 第二王子様の元を離れる分けにはいかなかった?



 ちょっと確定しにくいが理由はあったのだろう。

 私が考えても、あのタイミングは無いだろうと思う。



 殺すなら、当たり前の事だが、無抵抗の人間の方が楽だ。

 意識を取り戻す前、気を失っている時に、殺した方が百倍楽だし確実。



 そのまま死ぬのを願っていたのか? 

 もしくは目を覚まさない算段になっていたのか?



 兇手に取っても、回復魔法という方法は想定外だったに違いない。

 しかし、当然だが次からは想定内になる。



 回復魔法は死者蘇生ではないのだろう。

 つまり、今度があるなら即死を狙う?



 まあ、兇手はいつでも即死が嬉しいのだろうが……。



 兎にも角にも、今、私に影が着いたのだ。

 そして影に興味がある。




 一人と言ったわよね?

 一人で二十四時間警護なんて不可能だ。



 ならば便宜上一人と言っただけで、二交代制で二人だろうか?

 裏の世界で使われる独特の用語ってあるじゃない?



 一人とは暗黙で二人なのだろうか?

 対象が湯浴みなどをしている時はどうしているのだろうか?



 ああ、知りたい。

 知りたい。



 そもそも性別は?

 令嬢に付けるなら女の人?

 関係無く男の人?




 手っ取り早く本人に聞ければ良いのだけれど。

 第二王子様が付けたというからには、普段は第二王子様付きの影なのよね?




「影さーん」



 私は耐えられなくなって、天井に向かって声をかけた。

 影に声を掛ける令嬢はそうそういないと思うが……。



 いや、影というのは影のようにしているから影なのであって、返事とかしないわよね?



 でも、なんでルーファスは影の存在を私に教えてくれたのだろう?

 あの人、無駄なことはしなそうなのよね。




 つまり私が、影の存在を認識した方が良いと考えていたのかしら?

 もしくは、令嬢の日常を二十四時間盗み見する事への後ろめたさ?




 後ろめたさを感じるタイプではないわ。




「影さーん。影さーん」




 ルーファスがわざわざ私に教えたのだもの、前者だわ。

 話掛けて良いと踏む。

 きっとそう。

 たぶんそう。



 そうと信じて呼び続けるんだから(笑)

 根負けしないでね、影さん。





         

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