表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/171

【三十二話】右目の刻印

痛そうです

 令息方はというと、右目を押さえて、痛みのあまり絶叫している。

 ……なんとなく想像出来るわ。

 きっと目に焼き印を押したように痛いのでしょうね。

 だってのたうち回っているもの……。

 私の予想だと、というか奴隷契約の魔法だったりすると、第二王子に逆らおうとすると、右目がズキリと傷むんじゃないかしら。

 たぶんそうよね。黒魔法のセオリーだわ。


 令嬢の肩を押した事によって、黒魔法の呪いを受けたとなると、何というのかしら?

 低リスク、高リターン? 投資家的に言うと……。

 ある意味高リターンではあるけども。恐ろしい程に……


『やられたら百倍返し』とも言う。

 彼の有名な銀行家の台詞ですものね。百倍返しのシーンははなかなか気持ち良いもので。

 モンテクリスト伯と被るかしら。でもあれは百倍じゃなくて等倍返しですけども。

 三人の男に嵌められて十四年も投獄された。時間、婚約者、仕事。

 全てを失ってしまった。

 令嬢の肩を押すっていうのは、もちろん十四年間の投獄に比べるべくもない。

 私も大分、頭が冷えて来た。


 これはきっと口に出してはいけない感想だと思う。

 私を助けてくれた人に対して、やり過ぎでは?

 等という疑問を口にすることが、どれほど無神経かは理解しているつもりだ。

 それは小さな裏切り。助けてくれた人への。だから言わない。

 私も、正面から受け止めるべきなのだ。

 なぜなら、水を掛けて令息を煽ったのは、私自身なのだから。


『回復速度は一万倍』

 先程の回復魔法の説明を元に考えると、治癒力を一万倍に促進すると言う意味なのだろう。


 一万倍……。


 その数字の大きさが異常な事は、素人でも分かる。

 通常速度の回復機能を、一万倍にする訳だ。

 つまり一分で再生する細胞を一万分にするという事。

 一日が一万日。二日が二万日三日が三万日だ。

 人は六十年生きると、二万九百日生きる事になる。九十年で、三万二千八百五十日。


 回復魔法というのは、よくよく考えてみると時間魔法の概念に似ている。

 血と真名さえあれば、他人の中にある細胞の時間を操れるという事だ。

 右目に刻印された魔法陣が発動すると、彼らの体内劣化速度は促進され、三日で九十歳年を取る事になるのじゃないかしら?


 今、十六歳なので三日で百六歳。

 四日目は確実に生きてはいない数字だ。

 生殺与奪の権利を握ったも同然。

 命の糸がカゲロウのように儚げになってしまった。


 結果から考えるに、なんともリスクの高い虐めだったと思う。

 後学になったゎ……。

 



いつもお読み頂き、ありがとうございます。

ブクマ&評価して頂けると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ