【十一話】王子様は同族を探している
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つまりは、この王子様は御友人が欲しいということなんじゃないかしら?
素でいられる楽な人。
本音で語っても引かない人。
まあ、どこの国だって有る程度、王族というものには王族フィルターがかかっているものだ。
王子様だから素敵。
王族だから嫁ぎたい。
そういうフィルターを掛けられて見られる事に疲れたと言っている訳よね。
で婚約は友達の延長のような悪友で良いだろう。
悪友と言えば同級生のカールトン家のミシェールかな? と。
そうと決まればダンスパーティでエスコートでもして婚約するか? と計画していたところ、突然の落馬、重体、婚約、治癒魔法と続いて今に至る訳だ。
やっと気を失っていた時の経過というものが繋がった。
どうしよう?
悪役令嬢ストーリーというのは、大概において家同士が決めた婚約者というのが定番だ。
家同士でも政略結婚でもなく、ただただ人命救助の為という、些か微妙な理由での婚約になってしまっている。
定番を踏襲していない訳だが、現実は現実なりに微調整して行かなければならない。
第二王子のルーファスは、王族故か、その容姿故か、魔法保持者に生まれた故か、恋心を拗らせてしまっている。
異性に対する恋心に目覚めてもらうのに、二週間は少なくないか?
ここで私がルーファスとシンデレラを引き合わせてお茶でもという展開に持ち込めなくもないが、彼らは既に初見ではない。
一目惚れという線が無いという事だ。
人と人を恋に落とすには、一目惚れが一番手っ取り早い。
何と言っても一瞬で済むのだから。
二週間でお釣りが来る程の、手っ取り早さだ。
これが出来ないとなると、人は人をどうやって恋に落とすのだろう?
恋の生まれる瞬間は、恋愛漫画で散々読んできた。
私は数百パターンの恋模様をインプットしている。
ここいらでアウトプットしてみても良いじゃないか? あの手この手と。
食パンを噛じって通学路を走ってみる?
そうすれば何故か角でぶつかる可能性が高くなる。
貴族のマナー的に絶望的なイベントだ。
習慣として可能性は限りなくゼロ。
貴族の女子が、パンを持って走るだなんて、冗談だろ? というレベル。
部活で恋心を育む?
憧れの先輩とマネージャー。
鉄板だ。
でも異世界で部活って何?
サッカーとかバスケットボールとか存在していない。
高等学校の部活にしてはややマイナーだが、乗馬部なら辛くも行けるか?
意外なオタク趣味の共有?
天体観察とか読書かしら?
私が好きだわ!
王立学園のクラスの席が隣?
隣の席の○○君。
気になるわよね。
まあ、私とルーファスも共通の科目では隣に座ったわ。
別に全くお互い無意識だったけども!
………。
どうなんだろう?
少女漫画を数百冊読んでいても、恋に落ちるパターンは数百も無いのではないか?
私は一瞬、不安に陥る。
いやいやいや、もっと深く考えるのよ。
数百は無くても、数十はある筈だわ。
こういう、クールキャラというか、一歩間違えるとメガネキャラというか、頭が良いタイプの男の子は、どんな出会いに弱いんだっけかな?
それこそ、容姿に惹かれてやってくる女子は駄目そうね。
身分に惹かれるパターンも駄目。
じゃあ何?
私は目の前に本人がいるのにもお構いなしに、黙考する。
考えよう。考えればきっと分かる筈だわ。
前世の私の得意分野じゃないか。
ルーファス様の顔をじっくり拝見しながらアイディアを考える。
大変失礼な行為なのだが、気にしない、気にしない。気にした方が負けよ。
そして私は前世の魔導書の索引に深く潜った。
ええ。もちろん漫画、ラノベ、乙女ゲーですよ?




