表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/171

【百六話】治癒魔法の解析




 私がテラスからダンスホールに出て、アーロンに指示をするまで一分。


 そこから噴水まで三分。

 ルーファスを捕まえて二分。



 戻って三分。

 誤差で二分を予備に見て。



 十一分だ。

 体感でしかないのだが、十四分まで残り三分。



 デッドラインを超えてはいないと思うのだが……。



 そうは言っても、人体の事だから、何が起こるかなんて分からない。



 早いに越したことがないとは、この事だ。




 滑り込むようにテラスに戻ると、先ずは出血を止め、応急処置を施した後、処置室に運ぶ手筈になる。



 ルーファスは、ティアナ・オールディスを見て怪訝そうな顔をしたが、キースを介抱する姿を見て、有害ではないと判断したのか、スルーした。



 まあ、有事の際なので賢明な判断よね?

 私だって多々の疑問を飲み込んでいます。



 追って現れた、ブレット、セイ、アーロン以下令息方が壁になり、他者の視界を遮ると、精霊術の執行が行われる。



 ルーファスの手元から、淡い光が湧き上がり、その光がキースの傷口を包み込む。



 正直、治癒術の患部を初めて目の当たりにした。



 もちろん。

 私は何度か行使中に立ち会っている。



 一度目は自分が落馬した時。

 二度目はアーロン以下四名の令息に黒魔法? を掛けた時。



 そして三度目は、絞殺未遂の傷を治したとき。

  四度目は、被った毒の中和。



 でもね?


 一度目は完全に意識不明。

 そして、二度目は超特殊な能力の使い方。



 三度目と四度目は当事者なので、微妙に患部を見る事が出来なかった訳。

 だから実質、初めて見るくらいの勢いなのよ?



 出血多量の治療とは、まず血管を太い順に止血する。



 これ、前世なら止血鉗子で止めるものだと思う。



 怪我などをして、早急に止血が必要な時は、怪我をガーゼやハンカチで圧迫する直接圧迫止血法を行うのだが、止血鉗子はどちからというと手術時に使う止血法だ。



 精霊術の場合は何で堰き止めているか分からないが、光ということはないだろうし、水でも血は止まらない。



 もう少し物理的な何かなのだろうか?

 いや、純粋に魔力障壁の可能性大。



 そう考えてみると、結構多種の術式というか、魔法の種類が必要だ。



 血流を堰き止める魔術障壁。

 レーザーメスに匹敵する緻密で鋭利な何か。

 そしてたぶんというか確実に、縫合の力が必要になる。



 縫合と言えば、普通に考えると魔力の宿った糸が必須。

 つまり魔術糸を出す力。



 どこをどう取っても、一朝一夕に付く力じゃない。

 フィル様の超弩級の直接教授が必要ね。



 つうか、あのユカイな王と、ルーファスってかなり親密な関係でしょ。

 そもそもが伯父と甥ですけども。




 私はルーファスの手元に釘付けになっていた。



 凄いですね。

 治癒魔法ってーー


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ