私と姉
私には姉がいる。
といっても、姉の方が数分程度この世に生まれ落ちるのが早かっただけの姉だが。
私と姉は双子ではあるものの、容姿は姉の方が華があったし、運動能力については姉は校内の女子の中ではTopで、学力についても怠惰な私より姉の方が出来た。
客観的に見て姉は私より優れていた。
「掃除の当番変わってくれない?」
そうして母の胎内で姉のいらないもの押し付けられたとしか思えない私は、今日も姉のいらないものを押し付けられているのであった。
別に姉は、私に辛く当たる訳ではないし、周囲も私が姉と比較して劣るからといって差別する訳ではなかったが、私と姉の序列は水が上から下に流れるように、姉が上で私が下だった。
ただ私もそれに対して、憎悪や不満のような感情がある訳ではない。
「わかった。」
だから、今日も水が上から下に流れるように姉に従うのだった。
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「あなた最近太った?」
「そんなことないよ。」
朝食時、母と姉の他愛ない会話を耳にする。
私はあらためて姉を見てみる。
私は姉が特段太ったようには感じなかったが、言葉では言い表せない違和感を覚え姉を観察していた。
「あんた、早く食べなさいよ。」
母に促され再び食事に手を戻す。
その日から私は姉の観察を開始した。
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観察から一週間、周囲が分かるほどではないが姉を毎日観察していると明らかにおかしいことが分かった。
姉は徐々に黒ずんでいっているように感じた。それと同時にこの頃は事実少し太ったように感じた。
私は普段姉を特別に注視しているわけではなかったが、この頃は目が離せなくなっていた。
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観察から三週間、この頃は周囲からも明らかに変化が分かるようになっていた。
姉は少しづつだが、確実に黒く丸くなってきていた。
周囲は姉に大丈夫~?、どうしたの~?ような言葉を投げることが次第に多くなっていた。
家では姉と母がよく喧嘩をするようになり、家庭内には良くない空気が流れ、姉は私にもやつ当たりすることもあったが、私の心中は周囲とのバランスをとるように穏やかだった。
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観察から六週間、姉と母は様々な病院を受診したようだが結局の所原因はよく分からないようだった。
この頃には姉の肌色は完全な黒に近づいており、体も横幅がかなり広がりダルマのようだった。
周囲から避けられるようになった姉は、学校を休学し家でも必要時以外は自室に引きこもりがちになった。
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観察から九週間、周囲は最初こそ私に姉の容態を訪ねる者もいたが、次第に姉の話題が出されることはなくなっていた。
この頃の姉はというと、完全に黒いダルマのようになっており、自立した行動をするのは不可能となっていた。
そんな自立行動の出来ない姉の世話は専ら私が担当していた。
それは、誰かに命じられたわけでも姉に懇願された訳でもなく、水が上から下に流れるようにそうなっていた。
そして、昔からそうだったように今日も私に不満はなかった。
しかし、姉には変化があったようで、
「あんただけね..ありがとう。」
と漏らすのだった。
私はそのように変身した姉を今でこそ愛しいと変心しているのだった。




