少女と妖精3
―眩い光が溢れだした
【EAシステム起動…インストール完了術式ヲ行使シマス】
幻想的な光景に対して歪で機械的な音声は不自然にクレアの頭に響いていた。
同時にアティから流れてくる魔力が5~6メートル程離れたくぼみに配置された筒にも流れていくのが見てとれる。
―――そして
低く鈍い爆発音が空気を震わせた。衝撃で遺跡全体が軽く揺れたような錯覚がする。
しばらくして砂塵が落ち着きを取り戻した頃には筒の配置された場所には人一人がどうにか入れそうな穴が口を開いていた。
「んー、相変わらず術式行使は馴れないな、頭に響く――」
クレアは独り言のように呟いた。
「本当に文句ばかりね」
あきれたようにアティが答えるのを無視してクレアは穴の様子を確かめた。
かなり古い遺跡ではあったが穴の中は思いのほか丈夫な作りのようだった。
「うん!地盤もしっかりしてるし崩れてくる心配もない、我ながら完璧な仕事よ!!」
少し得意気なクレアだった。クレアの肩にアティがふわりと止まり呟く。
「ふーん…これは階段かしら、気をつけるのよ…クレア変なところでドジばっかりするんだから」
アティに釘をさされムっとなりながらもクレアは「はいはい」と探索用に準備したカンテラに光を灯す。
穴の中は階段になっていて日もまだ明るいというのにどこまでも暗く立ち入るものを拒んでいるかのように思えた。
「まぁここまできたからにはしっかり成果を上げないとね」
―
中に入り十数分ほど階段を下りると少し広がった空洞に出た。
床や壁の材質は旧世界の遺物なのだろうか見たこともない金属質だった。カンテラの光が鈍く反射し灯り一つでも中を見るには十分ようだ。
空洞の最深部の壁に刻まれた古代文字の文様の描かれた扉の様なものが目に入る。
軽く叩いてみると壁は頑丈な造りで手持ちの術式や道具ではとても破壊できそうにもない。
「…うーん、これ爆術いくらあっても突破できそうにないなぁ…アティ材質鑑定できる?」
「…ダメね、特殊な金属でできているのかしら、壊すのは無理ね、…それよりも古代文字を解析した方が早いんじゃないの?」
指摘されてクレアは壁に刻まれた文様に目を凝らす。
(簡単に言ってくれる)
「…うーん所々わからない部分があるけど、えーっと」
「―…再構築に…システムの…、…知能を……示し‥、‥‥観察する、母と父に…切り離し‥‥、削除する…神…役割‥果たす…、」……を愛して……―
古代文字の解析は難しい。依然として解明していない文字も多くある。
ちぐはぐな翻訳ではこの文がどんな願いを意味しているのかは判別できそうにない。
それでも最後の一文をクレアは言葉にすることができなかったのだ。