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揺れる世界
――――――・・・
水面に一輪の花びらが落ちるように、柔らかな振動が世界を緩やかに包み込むのを感じとった。
微弱で儚い揺らぎでしかなかったが、もう随分と前に亡くしてしまった暖かさに意識を覚ます。
深い 深い 深い 意識の深層
音もない青い世界で『私』は目を開く。
あらゆるモノを結合した
あらゆるモノを分解した
『終わった世界』を再構築するために
『壊れかけの世界』を見守るために
―――――
誰一人たどり着けない暗い深海のような
孤影でいて酷く美しいその場所で
少女は再び目を閉じる。
――――
あの日から長い時を過ごした
「そう…アナタも目覚めるのね…」
もうじき『世界』は動きだすだろう
これまでにない変化を伴って
それは少女にとってどれ程の意味があるのか
心の奥にまで響く揺らぎを何と表現すればいいのか
少女自身解ってはいない
それでもこの予兆は彼女にはとても重要なことに思えた。