002 ご注文はバナナですか?
「伊礼田さんまだっすか~?」
寿命で転性?が決まってる代々木くん?の退屈そうな態度に軽い殺意を覚え、10倍返しを誓った、必ずだ。
腕を組み眉間に深い皺を寄せ、遠い未来なのか直近の予定なのか、訪れるであろう時に備えて考えを巡らせる。
汎用性。
不測の事態。
代々木くんの敷いたレール。
互換性と相乗効果。
遊び。
バランス。
大戦。
秘匿。
結末。
…
「ウルスカ!言語習得は可能だろうから、これから問う条件が可能か不可能かを教えてくれ」
視線で返事を促す。
「ウルスカの世界と俺の世界の理が共存可能な空間を用意してくれ!
出入りには俺と代々木くん?の許可が必須。
離れた場所からでも、一瞬で戻れる。
一度行った事がある場所なら直ぐに出られるみたいな…
街程デカイ大きさをくれとは言わない。大きさは可変で、1部屋位の大きさから最大でも城位のスペースで可能か?」
「…互いに若干の認識の違いはありますでしょうが…
概ね可能かと」
(回答が早くて助かる。
面倒な希望だったと思うが、仕事が出来る娘なのかもな…
その分厄介でもあるわけなのだが)
「管理者は俺で頼む。
次だ。
人の器に神の力を宿すのは難しい。。。
なら、異世界の人の身のままならどうか?俺は転性?しない!転生?しない!
異世界人の身のまま往来する。
未転生?の状態、つまりは現行の異世界人。
攻撃や薬、毒、魔法、世界の理さえ効くかも分からない異物扱いに俺は相当する。
…
“万物の事象を取捨選択出来る能力”
といった力を俺に与えることは可能か?」
「何で2回言ったんすか?そんなNot転生強調すか?」
(あ~コイツやっぱ分かってねーのかなぁ…どっからどう見ても代々木くんの好きな…)
説明が面倒だ。
チラリとウルスカを見る。
喋るのも疲れてきた。
「…死後、コチラ側に転生…するのであれば…」
ウルスカは質問の回答だけを歯切れ悪く濁して答えた。
(可能とは答えづらいか…ま、だろうな)
ウルスカの訝しげな視線に、相槌を送り言葉を続ける。
「じゃあ次だ。
何れは此方の世界に転生する身なれど、異世界間を往来する期間は時間操作を出来るようしてくれ。
こっちの世界に居る時間、元の世界で同様に時間が経過してたら不味いんだよ。
因みに現状、俺カレー食い逃げ状態だからね?
24時間?そっちの世界の時間概念が不明だけど、俺は両方の世界で1日ずつを過ごして辻褄を合わせなきゃならない。
その為に時間を調整出来るように可能ならしてくれ。
あ~未来や過去の改変に興味はないから、その領域に力が及ばない様に制限をかけてくれて構わないよ。
出来るかい?」
「仰る様に制限付きなら可能です」
「え~でもそれだと伊礼田さんの寿命縮むんじゃないすか?」
「茶々入れんなよ。頼りにしてるよ、後輩」
「ん?あぁ、そゆ事すか」
そゆ事だよ♪
「さて、最後だ。
最後の願いは現状保留にしたい。
大まかには決まってはいるんだが、後回しにしたい。
可能か?」
「それは勿論可能ですが、」
「問題ない。
契約後と指定したのは俺だし、叶えるられなくとも責任はキミには無い。
この件は後からでも叶えて貰える範囲内だと思っているし、ウルスカ!
キミに取ってもその方が都合が良いハズだ」
「私に?ですか?」
「そうだ、多分な。
あぁ、代々木くん?に守護精霊憑けた?みたいだけど、俺には不要なんだが…その代わりウルスカ!
キミと綿密に連絡を取るにはどうしたらいい?」
「あら、私をご指名ですか?」
「そこだけ切り取ると口説いてるように聞こえま…」
「殺さなきゃならない相手の1人だろ?何にせよ情報は多い方がいい」
凍り付いた代々木くん?をシカトして、ウルスカを一瞥。
「問題ないなら始めてくれ」
「私に連絡可能なアイテムを後程お渡しする事で対応しますわ」
平然と何事も無かったかの様に、粛々と手続き業務をこなしていく。
食えない相手だ。
神様がどんなモンなのか測ろうにも暖簾に腕押しだな…
椅子の背もたれに身体を投げ出し、此処までの流れを振り返る。
(こんなトコかな?)
代々木くん?からのクレームも無いし、構想設計の雛型としては合格点を貰えたようだ。
「伊礼田明人、世界登録シーケンス開始致します」
“Open up your mind.
…
言語能力インストール開始。
終了まで15秒。
…
AreaDualWorld。
領域を確保。
両世界の森羅万象を融合。
融合…
融合…
融合…
完了まで30秒。
領域管理者を伊礼田明人(敬称略)で登録。
登録中…残り5秒。
拡張機能及び空間座標転移機能組込。
完了まで…300秒。
…”
さ、
て、
と、
「代々木くん?さぁ…
つか、代々木くんてやっと認めるんだけどさ…」
「何ですか?」
「俺の居る居ないで態度違うのムカつくから止めろよ!どーせウルスカの前では吃って童貞丸出しのマジメキャラしちゃってんだろ?」
「童貞ゆーな!経験が乏しいと言ってください!(ボクはキメ顔でそう言った)」
「イェーイ止めろ!どーゆーキャラで異世界生きてくのか知らねーけど、ヲタ丸出しでいくわけ?てゆーか、俺くらいしか突っ込み入れらんねーぞ?」
「独りじゃ寂しいってのもありましたが、そのツッコミ役の為にも喚びました!(テヘペロ♪)」
「殺意湧くわ、その顔!」
ドヤ顔して此方を見ている代々木くんであろう人…
“…
無限能力(EndlessSkill):SELECTION。
能力変換プロトコル起動。
開始シーケンス異常なし。
習得開始。
終了まで600秒。
…
限定能力(LimitedSkill):
TIME-COORDINATOR 。
能力変換プロトコル起動。
開始シーケンス異常なし。
平行して習得開始。
終了まで600秒。
…”
「ウールースーカー!そろそろ教えてやってもいいんじゃねーの、アレ?」
「そうですね…せっかくですから貴方の口からお願い出来ますか?」
―――
は?俺が?俺がかよ!?無茶振りもいいトコだろ!
所詮は他人事だし、別に俺に被害があるわけじゃないんだが…
俺に振るって事は何か意味があるのか?
無いならそれまでなんだが、もし在ったら…
(ナニソレ恐い)
眉をひそめ、笑うに笑えない状態なカレ?を見てあからさまにデカくて長い溜息をこれ見よがしに1つ吐き出した。
「なんすか、まるで生ゴミを見る様な目で熱い視線送られても困ります」
「触っても嬉しくないから触らないし、生物学的に…どう判断していいのか“正直”分からないんだけどな。
代々木くん…多分キミ、♂(バナナ)付いてないよね?」
「は?」
「最初、俺はキミが異世界に“転生”すんのか、異性に“転性”すんのか分からんかったわ…中身は代々木くんなのは理解した。
が、見た目は一応女性なのでは?ナニの存在は知らないし、在った場合の事なんて考えたくもない。童貞なのか処女なのか知らんが、頑張って強く生きるんだぞ!」
「ハァァァァァァァァァァァァッ!?」
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