015 乾杯の前に
「精霊さん行動力パねぇ…な」
グラスをもう1つ用意して、コーラを注ぐ。おっと忘れてた、お前らも居たよな…
皿と小鉢にはリンゴジュースを注いで各々の前に出してやった。
「床の上で悪いな。好きに寛げ」
「ガゥ!」
「水がいいなら何らかの合図を頼む」
動物にジュースは…何かあれば代々木先生にお出まし願うから深く考えないようにしてと、、、
「ンンン…ブッハァーーーーーーッ!」
主役のお目覚めだね、やっと。
してやったりのドヤ顔のオサリムとコーラを凝視して「カロリー…」と呟いているウルスカ。
涙目で「ゼーハーゼーハー」荒い息をして飛び起きた青い顔の代々木くん。
裏でガリガリ、ドッタンバッタン改装作業中の忍。
プラス、獣x4。
このメンツが現状の俺達のメンバーだ。
「ハァハァ…死ぬかと、思い、ましたよ、異世界初日に」
「やぁ、おはよう。しかも犯人はお前の身内じゃねーかよ」
「それな!てゆーか、オサリムを停める努力をして下さいよ。例え無理だったとしても…」
「最初に死にそうな目にあってもテンプレでは助かるモンじゃん?しかもさ、こんな安全な場所で死にそうになるとかどんだけなのよキミは…」
「そんなん予想出来るわけないでしょうが!!!」
カウンターに突っ伏して、呼吸を整える代々木くんの前にコーラを出しつつ、奥に向かって声を掛ける。
「忍、顔出せるか?」
「はい、只今!」
奥から執事服を纏い、茶髪のロングを後で1本に束ねた忍が出てきた。
「…誰ですかこちらの美形さんは?ここはキャバクラですか?僕が死の危険に瀕してる間に新しいキャストさん雇ったんですか?」
初見で言うよね~。根に持ってるんかい!周囲を落ち着かなさそうに見回しながら、コーラを口にする彼。
「乾杯しようと思ったのに早いね」
「あ…」
グラスと氷、自分と忍の分を用意して琥珀色の液体を乱暴に注ぐ。客に出すのではなく身内用だ。作法に拘らないので液体は派手に泡立ち、音を立てて飛沫を飛ばす、が、グラスからは溢れさせない。気分の問題ではあるが、どちらかと言うと俺はコーラよりジンジャーエール派なんだ。
「代々木くん、コイツは忍だ。この空間の管理人みたいなもんだ。ヨロシク頼む」
「代々木様、よろしくお願い致します」
「ど、どーも、代々木和也です」
「因みに男だ」
「は?えっ?エーーーーっッ!?」
若干顔を赤らめた代々木くんの驚嘆の喚声を無視して言葉を続ける。
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2019/01/26/Sat/12:00-




